Aprilia RS4 125 ピアッジオグループジャパン

アプリリアと言えば近年ではスーパーバイク世界選手権(WSB)でもチャンピオンを獲得する活躍を見せるが、個人的には小排気量GPレーサーの活躍のイメージが強い。よって、2ストロークエンジンを搭載したRS125の後継モデルたるRS4 125も、乗る前はピーキーで扱い難い尖がった印象があった。ところがさすが最新バイク、セルフスターターが装備されており、今やバイクの世界でも当たり前となったFIを採用することでエンジンは簡単に目を覚ます。しかし「タカタカタカ......」というあまり聞き慣れないメカニカルサウンドは異質な雰囲気だ。一方、ちょうど右足元あたりから顔を出すマフラーエンドからは「トットットット......」と低めのエキゾーストノートが聞こえる。

スタイリングはWSBに参戦するRSV4がモチーフとなっており、フロントマスクからテールカウルにかけての造形はそのもの(何とサイズも同じだとか)と言っていい。LEDが採用されたテールランプまわりの処理は特にアグレッシブ。

ポジションは見た目通りかなりレーシーだ。乗り慣れていない当初は面食らうが、10分も走っているうちに慣れてきた。装備重量145kgとあるが、実際にはその数値よりずっと軽く感じる。おかげで都内での取り回しも楽である。左右のミラーは調整がし易く、思った以上に後方視界を確保しているが、ある回転域での振動によるブレも多少見られた。

インパネにはデジタル液晶の多機能メーターとアナログの13000rpmスケールのタコメーターが備わる。多機能メーターはスピード、バーグラフ表示の水温計が備わり、視認性は高い。また、スイッチでオド、トリップ1&2、そしてイタリア人が好みそうな最高速度ホールドの表示切り替えが可能。参考までに、サーキット試乗会の時と思われる最高速は112km/hとメモリーされていた。タコメーター内にはハイビーム、方向指示、ニュートラル、オイル、燃料残量、オーバーヒート、そして何かのエラーを意味すると思われる"三角にビックリマーク"の各インジケーターが備わる。点灯こそしないがABS警告も付いていたので、メーターは他車種と共用していると思われる。

Aprilia RS4 125

RS4 125を走らせてみると、その痛快なフィーリングは見た目そのもの。6速のトランスミッションが組み合わされるエンジンは、低速トルクこそ細く感じられるが、街中で扱いにくいことはない。が、そんな特性ゆえ、エンジンを回せば回すほどメリハリが効いて心躍る感覚に包まれる。7000rpmあたりから力が増し、9000rpmからは言葉はちょっと大袈裟だが2ストロークのように一気に吹け上がる印象で、排出ガスの規制が厳しくなった昨今のバイクの中では希少な存在と感じた。これが"官能"で操る人を魅了するイタリアのテイストなのだろうか。中々痛快である。ちなみにエンジン回転は11000rpmあたりでリミッターが働いた。

一方、操縦性はこれといったクセもなく、初心者でも扱い易いのは言うまでもない。ベテランが乗っても小排気量の限られたパワーを余裕で受け止めるシャシーを振り回す楽しみも有しているはずだ。尚、バックステップやエキゾースト、FRP製カウルといったアクセサリーも用意されているので、サーキット専用車としてさらなる楽しみが用意されているのもRS4 125のチャームポイントである。

水冷DOHC4バルブの単気筒エンジンは、キャブ仕様のデルビGPR125用がベースながらヘッド、シリンダー、ピストン、トランスミッションは別仕様。FIのスロットルボディはφ38mm。アルミのペリメターフレームに搭載される。
水冷DOHC4バルブの単気筒エンジンは、キャブ仕様のデルビGPR125用がベースながらヘッド、シリンダー、ピストン、トランスミッションは別仕様。FIのスロットルボディはφ38mm。アルミのペリメターフレームに搭載される。
こちらの動画が見られない方はYOUTUBEのサイトhttp://youtu.be/mctwUL6TEvIで直接ご覧ください。
φ41mmの倒立サスペンションを採用。ストロークは110mm。ブレーキはAPJ製ラジアルマウント4ポットキャリパーと300mmローターという組み合わせ。ホースはステンレスメッシュだ。ホイールのリム幅は2.75インチ。カーボン調フェンダーの先端に貼られた原付二種ステッカーがユニーク。
φ41mmの倒立サスペンションを採用。ストロークは110mm。ブレーキはAPJ製ラジアルマウント4ポットキャリパーと300mmローターという組み合わせ。ホースはステンレスメッシュだ。ホイールのリム幅は2.75インチ。カーボン調フェンダーの先端に貼られた原付二種ステッカーがユニーク。
リアサスはカンチレバー式のモノショックを装備。調整機能は備わらない。左右非対称のスイングアームはスチール製。ブレーキは1ポットキャリパー+218mmローターで、ホースはフロント同様ステンレスメッシュ。ホイールのリム幅は3.50インチ。
リアサスはカンチレバー式のモノショックを装備。調整機能は備わらない。左右非対称のスイングアームはスチール製。ブレーキは1ポットキャリパー+218mmローターで、ホースはフロント同様ステンレスメッシュ。ホイールのリム幅は3.50インチ。

さて、アプリリアRS4 125の44万9000円という車両価格をどう捉えるか? ほぼ同じ価格(44万9400円)で軽二輪のホンダCBR250Rを買うこともできるが、経済性で圧倒的に優れるG2クラスの本格レーサーレプリカとなるとRS4 125はほぼ唯一無二の存在となる。一方、同じ原付二種にはKTM 125 DUKEという同価格のモデルもあるが、こちらは同じロードスポーツながらキャラが異なるモデル。RS4 125は細かいところの仕上がりに"粗"も見えるが、正にラテンのアッケラカンとしたノリが魅力と感じた。

尚、RS4 125はアプリリア正規販売店にて発売が開始される一方、来年からは100㎡以上のショールームと認証サービス工場を有するアプリリアとモトグッチ専売正規販売店「Moto Italiana(モト・イタリアーナ)」でも展開。2012年は東京、神奈川、名古屋、大阪、埼玉、兵庫、静岡、千葉、福岡、札幌の10店舗のオープンを予定している。これまで、どこで見られるのか、どこで買えるのか、いまひとつ判り難かったアプリリア、モトグッチのブランドを日本で確立させることを目指すそうだ。

多機能デジタルとアナログタコメーターの組み合わせ。最高速ピークホールド機能が実にイタリアン。またタコメーターの奇数表記もラテンのモデルによく見られるパターン。
多機能デジタルとアナログタコメーターの組み合わせ。最高速ピークホールド機能が実にイタリアン。またタコメーターの奇数表記もラテンのモデルによく見られるパターン。
燃料タンクは欧州のバイクで主流のポリ製。スタイルのモチーフとなったRSV4がスーパーバイク世界選手権でチャンピオンを獲得した記念ステッカーも輝く。
燃料タンクは欧州のバイクで主流のポリ製。スタイルのモチーフとなったRSV4がスーパーバイク世界選手権でチャンピオンを獲得した記念ステッカーも輝く。
RSV4と同デザインのフロントマスクだが、エアスクープはダミー。ロービームは左右の2灯、ハイビームは真ん中の1灯、パッシング時は3灯すべてが点灯する。
RSV4と同デザインのフロントマスクだが、エアスクープはダミー。ロービームは左右の2灯、ハイビームは真ん中の1灯、パッシング時は3灯すべてが点灯する。
レーシーなデザインと居住性を両立させたシート。キーを開ければ中には工具や書類が収まるスペースが確保されている。
レーシーなデザインと居住性を両立させたシート。キーを開ければ中には工具や書類が収まるスペースが確保されている。
身長173cmのライダーが跨った状態。足着きは良く、両足べったり地面に着く。車体は125ccとしては大柄だが、ポジションはかなりレーシー。
身長173cmのライダーが跨った状態。
身長173cmのライダーが跨った状態。足着きは良く、両足べったり地面に着く。車体は125ccとしては大柄だが、ポジションはかなりレーシー。
足着きは良く、両足べったり地面に着く。
身長173cmのライダーが跨った状態。足着きは良く、両足べったり地面に着く。車体は125ccとしては大柄だが、ポジションはかなりレーシー。
車体は125ccとしては大柄。
身長173cmのライダーが跨った状態。足着きは良く、両足べったり地面に着く。車体は125ccとしては大柄だが、ポジションはかなりレーシー。
ポジションはかなりレーシー。
Aprilia RS4 125
■Aprilia RS4 125 主要諸元■
全長1,968mm×全幅760mm×全高1,135mm、軸距1,353mm、シート高820mm、車両重量145kg、乗車定員2人、エンジン型式・種類:水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ、総排気量124cm3、内径58.0mm×行程47.0mm、圧縮比12.0±0.5、最高出力11.0kW[15PS]/10,500rpm、最大トルク10.9N・m[1.11kg-m]/8,250rpm、燃料供給装置形式:燃料噴射装置、始動方式:セルフ式、燃料タンク容量14.5L、変速機形式:常時噛合式6段リターン、1速3.000、2速2.000、3速1.500、4速1.200、5速1.080、6速0.956、タイヤサイズ:前100/80R17/後130/70R17 、ブレーキ形式:前・油圧式シングルディスク、後・油圧式シングルディスク、懸架方式:前・テレスコピック式(倒立)、後・スイングアーム式、フレーム形式:ペリメター

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