不動の思想、進化の指向

不動の思想、進化の指向


SOHCエンジンの第二世代へ

1966年5月 スーパーカブC50

■1966年5月 スーパーカブC50
■エンジン型式:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ ■総排気量(内径×行程):49cc(39×41.4mm) ■最高出力:4.8ps/10000rpm ■最大トルク:0.37kg-m/8200rpm ■圧縮比:8.8 ■変速機:自動遠心式3段リターン ■全長×全幅×全高:1795×640×975mm ■軸距離:1185mm ■車両重量:69kg ■タイヤ前・後:2.25-17・2.25-17 ■発売当時価格:57,000円 ■発売開始:1966年5月

誕生から8年が経過し生産累計台数は400万台を突破という好調なセールスを続けていたスーパーカブだが、現状にとどまることなく将来を見据えてより静かでより耐久性を高めたSOHCのニューエンジンへのモデルチェンジが敢行された。

SOHCのニューエンジンは、元祖スーパーカブの50ではなく、まずは'64年12月C65に搭載された。

ボディは初代C100系のままエンジンのみリニューアルされるという異例の手法が取られた。

そして新型エンジンの生産が軌道に乗った'66年、いよいよスーパーカブ50もSOHCエンジンでフルモデルチェンジを行なった。

50は灯火類の大型化、各部材質、工法の変更などが行なわれイメージを一新した新設計のニューボディで登場、OHVの旧エンジンに比べ最高出力0.3ps、最大トルク0.04kg-m、最高速度5km/hの向上も果たし、新世代のスーパーカブを強くアピールした。

先行していたC65も同時に車体を一新、9月にはC90もニューデザインボディとなり、第二世代のスーパーカブが出揃った。

生産ラインを極力変更することなく大量生産が出来るようSOHCのニューエンジンとOHVの旧エンジンはマウント位置などが同寸で設計されていた。C65とC90が行なったエンジンのみ先行し車体は後に新型にスイッチするという方法は一見二度手間にも見えるが、一番需要の大きな50の為の予行の意味合いもあった。

大ヒット商品であり、絶対に失敗できないリニューアルを当時の生産キャパを最大公約数で生かしつつ無事完了したのは、技術屋ホンダらしい根回しの賜であった。

余談だが、この新型スーパーカブは、スポーツカーS600と同形状のウインカーで、先が尖った形状から「おっぱいカブ」の愛称でも呼ばれている。

1966年5月 スーパーカブC65

○1966年5月 スーパーカブC65
スーパーカブでSOHCエンジンを初めて搭載したC65は50のモデルチェンジと同時にニューボディにリニューアル。

1966年9月 スーパーカブC90

●1966年9月 スーパーカブC90
’66年1月にSOHCエンジンになったスーパーカブC90はシリーズ最後にニューボディに変更。旧ボディ+SOHCは8ヶ月という短命だった。

1968年8月 CT50

◇1968年8月 CT50
◇1968年8月 CT50
レッグシールドを廃し、二輪車初の副変速機(レバーで切り替えるロー・ハイの2段)、アップマフラー、パイプハンドルを装着したトレールモデル。一般的に「ハンターカブ」と呼ばれることが多いが、このCT50にはハンターカブの名称は付けられていない。写真右上の雑誌用広告にもハンターカブの名称は出ていない。
◇1968年 CT50雑誌広告
■エンジン型式:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ ■総排気量(内径×行程):49cc(39×41.4mm) ■最高出力:4.8ps/10000rpm ■最大トルク:0.37kg-m/8200rpm ■圧縮比:8.8 ■変速機:自動遠心式3段リターン+副変速機2段 ■全長×全幅×全高:1805×720×965mm ■軸距離:1190mm ■車両重量:78kg ■タイヤ前・後:2.25-17・2.50-17 ■発売当時価格:65,000円 ■発売開始:1968年8月

二輪車初のポジションランプ装着

1968年8月 スーパーカブC90

●1968年8月 スーパーカブC90
■エンジン型式:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ ■総排気量(内径×行程):89cc(50×45.6mm) ■最高出力:7.5ps/9500rpm ■最大トルク:0.67kg-m/6000rpm ■圧縮比:8.2 ■変速機:自動遠心式3段リターン ■全長×全幅×全高:1830×640×995mm ■軸距離:1190mm ■車両重量:85kg ■タイヤ前・後:2.50-17・2.50-17 ■発売当時価格:76,000円 ■発売開始:1968年8月
先行して90がヘッドライトの下に大きなポジションランプを新設した通称「行灯カブ」にモデルチェンジ。独立したポジションランプは二輪車としては初の装備だった。他にも停止時メインスイッチをオフにしてホーンボタンを押すと左ウインカーランプが点灯するキイライトも装備。

1969年1月 スーパーカブC50

■1969年1月 スーパーカブC50
■エンジン型式:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ ■総排気量(内径×行程):49cc(39×41.4mm) ■最高出力:4.8ps/10000rpm ■最大トルク:0.37kg-m/8200rpm ■圧縮比:8.8 ■変速機:自動遠心式3段リターン ■全長×全幅×全高:1795×640×975mm ■軸距離:1185mm ■車両重量:72kg ■タイヤ前・後:2.25-17・2.25-17 ■発売当時価格:60,000円 ■発売開始:1969年1月

1969年1月 スーパーカブC70

○1969年1月 スーパーカブC70
■エンジン型式:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ ■総排気量(内径×行程):72cc(47×41.4mm) ■最高出力:6.2ps/9000rpm ■最大トルク:0.53kg-m/4500rpm ■圧縮比:8.8 ■変速機:自動遠心式3段リターン ■全長×全幅×全高:1795×640×975mm ■軸距離:1185mm ■車両重量:75kg ■タイヤ前・後:2.25-17・2.25-17 ■発売当時価格:66,000円 ■発売開始:1969年1月
C90に続きC50もポジションランプ付にモデルチェンジ。C70はC65のボアアップ版のニューモデルでC65は発展的解消を遂げた。セル付のC50M(67,000円)とC70M(73,000円)も同時発売。
スーパーカブ年譜
1966年5月
■スーパーカブC50
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○スーパーカブC65
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SOHCエンジン搭載 39×41.4mm 49cm3 4.8ps/0.37kg-m 大型の灯火類を採用するなど外装もリニューアル 57,000円 C65も外装をリニューアル
1966年5月カタログ

1966年9月
●スーパーカブC90
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C50/65同様の外装にリニューアル

1967年4月
生産累計500万台達成
単機種での世界新記録達成

1968年8月
●スーパーカブC90
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二輪車初のポジションライトの他、大きく明るいウインカーパイロット、停車時にホーンボタンを押すと点灯するキイライトを採用しモデルチェンジ 76,000円 セル付のC90Mは9月発売 83,000円

1968年8月
◇CT50
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ハンターカブの復活版 アップマフラー、二輪車初の副変速機(スーパートルク)採用 65,000円

1968年11月
生産累計600万台達成

1969年
■スーパーカブC50職業シリーズ
○スーパーカブC70職業シリーズ
生産累計600万台達成を記念し、C50、C70をベースに新聞配達、大工、花屋など専用のキャリアを装備した5タイプの職業<プロ>シリーズを受注販売。

1969年1月
■スーパーカブC50
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○スーパーカブC70
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ポジションライト、キイライトを採用 Mはセル付のC50M/C90Mも発売 C70はC65のボアを拡大したエンジンを搭載する後継モデル 47×41.4mm 72cm3 6.2ps/0.53kg-m C50 60,000円 C70 66,000円
1968カタログ

1971年1月
■スーパーカブC50デラックス
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○スーパーカブC70デラックス
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●スーパーカブC90デラックス
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7種類のメタリックボディカラーなどを採用したデラックス発売 細身のレッグシールド&フェンダー、フレーム内に収めたガソリンタンク、フライングスタイルのハンドルを採用 中低速に重点をおいたエンジンは4.8ps/0.37kg-m(70は6.2ps/0.67kg-m、90は7.5ps/0.67kg-m)に セル付デラックスは2月発売 デラックスⅡは50にセミロング、70にロングシートを装備 C50デラックス 68,000円
1971カタログ

1971年3月
◇ニュースカブ90
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耐荷重性を高めたサイドスタンドを採用するなど、新聞配達専用装備を施した 105,000円
◇1971年3月ニュースカブ90

1974年9月
生産累計1,000万台達成
生産累計1,000万台達成

1976年4月
■スーパーカブC50
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○スーパーカブC70
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●スーパーカブC90
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自動車騒音規制、二輪自動車用タイヤのJIS規格新設に対応 チョークノブ移設 スタンダード車にフラッシャー指示灯新設 デラックスはポジションランプをヘッドランプ内に移設 出力とトルクは4.5ps/0.36kg-m(70は6.0ps/0.53kg-m、90は7.3ps/0.69kg-m)にダウン 70は後輪が2.50-17-6PRへとグレードアップ C50スタンダード 94,000円
1976カタログ

一体プレス成形のデラックス登場

1971年1月
スーパーカブC50デラックス

●1971年1月スーパーカブC50デラックス

1971年1月
スーパーカブC70デラックス

○1971年1月スーパーカブC70デラックス

1971年1月
スーパーカブC90デラックス

●1971年1月スーパーカブC90デラックス
■エンジン型式:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ ■総排気量(内径×行程):49cc(39×41.4mm) ■最高出力:4.8ps/10000rpm ■最大トルク:0.37kg-m/8200rpm ■圧縮比:8.8 ■変速機:自動遠心式3段リターン ■全長×全幅×全高:1805×655×985mm ■軸距離:1175mm ■車両重量:71kg ■タイヤ前・後:2.25-17・2.25-17 ■発売当時価格:68,000円 ■発売開始:1971年1月※諸元はC50DX

シート下のタンク部分が一体プレス構造になったニューボディで、フロントフェンダーとレッグシールドはやや小型になり、クランクケースに冷却用エアダクトが入ったバリエーションモデルのデラックスが新たに追加された。

ハンドルはやや逆ガル形状で正面から見るとかもめが飛んでいる姿に見えることから「かもめハンドル」の愛称で呼ばれた。

このモデルからメインキーがサイドカバー部分からハンドル下のレッグシールド左側に移動し、前後どちらのブレーキを使ってもストップランプが点灯するようになった。

50DX(68,000円)、70DX(74,000円)、90DX(84,000円)とセル付のDX-M(各7,000円高)の他に、50と70にはロングシート(50は二人乗り不可のためセミロングシート)+リアキャリア付のDX-Ⅱ(各1,000円高)もラインナップされた。しかしDX-Ⅱの国内モデルは短命に終わっている。

なお写真左のゴールドカラーで花柄シートのスーパーカブ50DXは、市販モデルではなく鈴鹿製作所二輪車生産1.000万台達成を記念したスペシャル仕様。


特化したスペシャル仕様

1973年 MD50

◇1973年 MD50
当時の郵政省とホンダの共同開発により誕生した郵便配達専用モデル。倒立タイプに見えるフロントフォークはテレスコピックで、ハンドルはパイプのアップタイプ。フロントキャリアには配達用鞄をセットするアタッチメント付。フレームはタンク別体式で剛性をアップ。ホイールは前後共14インチの小径など現場の意見を反映して作られた。90、70も存在する。ちなみにMDとは「MAIL DELIVERY」の頭文字で、払い下げられたMDは人気が高かった。

1971年3月 ニュースカブ

△1971年 ニュースカブ
日本新聞協会、新聞配達省力化委員会の協力、要請で開発された新聞配達専用車。早朝や薄暮、雨天でも視認性の高いブライトイエローのボディカラーでミッションは1速から2速へ1モーションで変速できる自動遠心3段、大型リアキャリアや接地面の大きなサイドスタンドを備えた。写真の布製バッグはオプションでサイドバックを装着するためリアウインカーは後部に移設されている。50、70,90のセル付が設定され70と90はフロントバッグを標準装備。。105,000円(90)。

最後のモナカマフラー

1976年4月
スーパーカブC50スタンダード

●1976年4月スーパーカブC50STD

1976年4月
スーパーカブC70スタンダード

○1976年4月スーパーカブC70STD

1976年4月
スーパーカブC90スタンダード

●1976年4月スーパーカブC90STD
■エンジン型式:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ ■総排気量(内径×行程):49cc(39×41.4mm) ■最高出力:4.5ps/9000rpm ■最大トルク:0.36kg-m/7000rpm ■圧縮比:8.8 ■変速機:自動遠心式3段リターン ■全長×全幅×全高:1785×640×975mm ■軸距離:1175mm ■車両重量:74kg ■タイヤ前・後:2.25-17・2.25-17 ■発売当時価格:94,000円 ■発売開始:1976年4月 ※諸元はC50STD

1976年4月
スーパーカブC50デラックス

●1976年4月スーパーカブC50デラックス

1976年4月
スーパーカブC70デラックス

○1976年4月スーパーカブC70デラックス

1976年4月
スーパーカブC90デラックス

●1976年4月スーパーカブC90デラックス
■エンジン型式:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ ■総排気量(内径×行程):49cc(39×41.4mm) ■最高出力:4.5ps/9000rpm ■最大トルク:0.36kg-m/7000rpm ■圧縮比:8.8 ■変速機:自動遠心式3段リターン ■全長×全幅×全高:1805×655×985mm ■軸距離:1175mm ■車両重量:75kg ■タイヤ前・後:2.25-17・2.25-17 ■発売当時価格:99,000円 ■発売開始:1976年4月 ※諸元はC50DX
騒音規制や二輪車用タイヤJIS規格の新設に合わせてマイナーチェンジ。透過式メーター、両面キーの新採用やチョークノブをハンドル中央下部に移設、デラックスのみの装備であった丸形バックミラーとメーター内ターンシグナルランプをスタンダードモデルにも設置。デラックスはポジションライトをヘッドライトに内蔵し外観上の特徴であった「行灯」が廃止された。セル付のMも引き続きラインアップ。車体色はラバーメタリック(50/70/90デラックス、デラックスセル付)、フロンドグリーンメタリック(50/70/90デラックス)。プラチナシルバーメタリック(50デラックスのみ)。フィールドグリーン、エレファントグレー(C50/70/90)。スモークグリーン、コスミックブルー(C50のみ)と排気量や仕様によって細分化されていた。