スズキが第42回東京モーターショー出展モデルを公開! スズキ株式会社 スズキ株式会社 スズキ株式会社 スズキ株式会社 スズキ株式会社

 

第42回東京モーターショー出展モデル e-Let's

2010年9月に公道走行用のナンバーを取得し、走行実証実験中!
市販化への残すハードルは航続距離と価格のみ?

車両開発をまとめたスズキ開発企画部の詫摩 健さんによれば「極力レッツ・シリーズのコンポーネントを流用してパーツの供給やランニングコストを下げられるように配慮しました」とのこと。実際にパッと見はただのレッツ・バスケット。よくよく見ても通常ならユニットスイング機構がある部分が「なんだかすっきりしているなあ~」程度。現行モデルのレッツ・シリーズと可能な限り共通のコンポーネントに設定することで、実際に市販した場合にパーツ供給などで困るようなケースをできるだけ少なくしようという方向で開発が行われてきたというのだ。

そう、市販開始は秒読みといったところまで「e-Let's」の開発は進んでいる。

走っている姿も普通のレッツ・シリーズとしか思えない。たしかに走行音は違うが。というか、電動バイクなので、本来ならタイヤ音だけでも済むところ、周りの人間への認知のため、わざわざモーター音の一部が聞こえるように設計している。


走行感覚もガソリンエンジン版の原付スクーターとほとんど同じ。ちょっとおとなしい感じのレッツ。これまで多くの電動バイクで懸念の基となったアクセレーションの問題も、さすがにメーカーが本気で開発すればクリアできてしまうのだ。「リターンスプリングと制御系のセッティングを追求することで普通のバイクと同じように使えるようにしました」(同、馬場一樹さん)。いわゆる“電気スイッチ”的な感触から普通のバイクのアクセルとほとんど変わらない感覚になっている。誰でもが跨ってすぐになんの違和感なく乗れる大きなポイントだろう。

ここまで完成の域に達している「e-Let's」、市販開始へのハードルとなるのは、あとは実用航続距離や価格設定ぐらいか。いや、それこそが電動バイク普及の最後の大ハードルなのだが。

●全長1,660×全幅600×全高985mm、交流同期電動機、定格出力0.58kW、一充電走行距離30km(30km定地)、充電時間約4時間/100V。


第42回東京モーターショー出展モデル e-Let's

バッテリー残量、パワー/エコモード、速度、ツイントリップ、時計、各種警告灯が配備されたメーター周り。出力状態が分かるパワーレベル表示も行われる。
バッテリー残量、パワー/エコモード、速度、ツイントリップ、時計、各種警告灯が配備されたメーター周り。出力状態が分かるパワーレベル表示も行われる。
※スタートボタン通すと、SUZUKI e-Let'sの動画を見ることが出来ます。見られない場合はYouTubeのサイトで直接ご覧ください。http://www.youtube.com/watch?v=AItk_lAUIP8
リアホイール左サイドにモーターを直結配置。スロットル全閉時にはモーターが発電機の機能に切り替わりバッテリーへ回生充電を行うという。
リアホイール左サイドにモーターを直結配置。スロットル全閉時にはモーターが発電機の機能に切り替わりバッテリーへ回生充電を行うという。
ガソリン仕様のレッツ・シリーズのスイングユニット取付位置を利用しているのがよく分かる。専用開発部分を抑えることで少しでもコストアップを防ごうという配慮だ。リアショックユニットは専用。
ガソリン仕様のレッツ・シリーズのスイングユニット取付位置を利用しているのがよく分かる。専用開発部分を抑えることで少しでもコストアップを防ごうという配慮だ。リアショックユニットは専用。
メットインスペースだった所をEVコントローラーとバッテリー、充電器の収納場所にしている。シートヒンジの下方にEVコントローラーが隠れている。
メットインスペースだった所をEVコントローラーとバッテリー、充電器の収納場所にしている。シートヒンジの下方にEVコントローラーが隠れている。
バッテリー専用スロットに1本目のバッテリーを装着。ワンタッチのロックで確実に固定できる。バッテリーにはマネージメントユニットが内蔵されている。
バッテリー専用スロットに1本目のバッテリーを装着。ワンタッチのロックで確実に固定できる。バッテリーにはマネージメントユニットが内蔵されている。
ユニークな電池2本搭載。充電器の代わりに予備としてもう一本電池を搭載しておける。行きに1本目の電池、帰りにはもう1本の電池と交換、といった使い方も出来て安心。
ユニークな電池2本搭載。充電器の代わりに予備としてもう一本電池を搭載しておける。行きに1本目の電池、帰りにはもう1本の電池と交換、といった使い方も出来て安心。
これが標準的な搭載方法。バッテリー1本とその後ろに家庭用100Vコンセントで使える充電器を搭載。出先で簡単に充電が可能だ。
これが標準的な搭載方法。バッテリー1本とその後ろに家庭用100Vコンセントで使える充電器を搭載。出先で簡単に充電が可能だ。

「もともとバイクが好きだったから、エレクトロニクス部分の開発でもメカニズム系の要求が理解できた」というスズキ開発企画部の馬場一樹さん。「e-Let's」のアクセルコントロールを単なる出力の“スイッチ”としてではなく“アナログ的な制御”とすることが可能となった。
「もともとバイクが好きだったから、エレクトロニクス部分の開発でもメカニズム系の要求が理解できた」というスズキ開発企画部の馬場一樹さん。「e-Let's」のアクセルコントロールを単なる出力の“スイッチ”としてではなく“アナログ的な制御”とすることが可能となった。
標準的な装備では定格電圧DC50.4V、容量14.2Ahのリチウムイオン電池と車載可能な家庭用充電器を搭載する。1充電での走行距離は30km(30km/h定地走行テスト時)。家庭用100Vコンセントで充電可能。約4時間でフル充電に。電池重量7.6kg。
標準的な装備では定格電圧DC50.4V、容量14.2Ahのリチウムイオン電池と車載可能な家庭用充電器を搭載する。1充電での走行距離は30km(30km/h定地走行テスト時)。家庭用100Vコンセントで充電可能。約4時間でフル充電に。電池重量7.6kg。

●第42回東京モーターショー出展モデル e-Let's 試乗

第42回東京モーターショー出展モデル e-Let's インプレッション

8月20・21日の2日間「バイクのふるさと浜松」で行われた、初めて国産電動バイク3モデルが揃った試乗会で体験された方もいらっしゃるかもしれない。東京モーターショー出展に先駆け、スズキのe-Let'sに乗る機会が得られた。

今回の試乗車も表向きは"参考モデル"扱いのようだが、e-Let'sは昨年9月に原付一種で届出、ナンバーを取得し、公道走行調査を積み重ねてきている。結論から先に言えば、ほぼ最終市販モデルと言っていい完成度の高い仕上がりを感じた。

始動は簡単。キースイッチをONにし、メーター下のスタートスイッチを押せば完了だ。センタースタンドが起きている状態では安全のため、スイッチを押してもスタート状態にはならない。

走行はエコとパワーの2モードから選べる。切り替えはスタートスイッチと共通だ。まずはエコモードで走ってみる。スロットルが同クラスの原付スクーターと比べると重めなのに気付く。ガソリンエンジンに対し、静止状態から一気にトルクが立ち上がる電気モーターの特性故の、急発進を防ぐ配慮だろうか。ただ、e-Let'sはパワーデリバリーのコントロールが絶妙に調教させており、どんなラフな開け方をしてもスムーズに発進してくれ、電動バイクであることを意識させない。ここが世界を代表するバイクメーカーと、スロットルコントロールが"オンかオフ"の両極端なモデルが多い海外製品との大きな違い。

試乗ルートには長い坂道が設定されていた。エコモードのまま坂を下ると、速度は30km/hちょっとでセーブ状態に。スロットル全開状態でもエネルギー回生が働き、電気がバッテリーに貯蓄される仕組みとなっている。尚、回生状態はメーター内のバーグラフで確認することができた。回生状態が把握できるのは、航続距離を伸ばすための武器となるはず。尚、参考までに、パワーモードの場合は原付一種の自主規制速度近くまで速度が伸びると思われる。

一方、登り坂はエコモードのままではパワー不足は否めない。そんな時はモードをパワーに切り替えると、原付(一種)として充分な登坂能力を示してくれた。

バッテリー装着時でも72kgと、ベースとなっているLet's4バスケットよりもさらに軽い重量に仕上げられたe-Let'sだけに、取り回しは軽くて楽。操縦感覚もガソリンエンジン車と変わることはない。女性にとっても何の違和感もなく扱える電動バイクである。

リアホイールに至るまで極力ガソリンエンジン車とパーツを共用するなど、スズキの徹底したコスト削減努力が車体のあちこちに見られる。「多くの人に電動スクーターに乗ってもらわなければ意味がない」という姿勢がヒシヒシと伝わってきた1台。いくらで販売されるか気になるところだが期待は大だ。ちなみに、ベースとなったLet's4バスケットの車両価格は15万6,450円である。

航続距離、バッテリーの買い替えコスト(スズキはバッテリーを原価で販売していくという)など、まだ悩みどころのある電動バイクだが、街のコミューターとして台数が増えそうな予感のあるモデルだった。

(試乗:高橋二朗)

リアホイールのモーターはEVコントローラーからの指令により三相交流により駆動。走行中にスロットルを全閉すると発電機になり、バッテリーへ回生充電を行う。
リアホイールのモーターはEVコントローラーからの指令により三相交流により駆動。走行中にスロットルを全閉すると発電機になり、バッテリーへ回生充電を行う。
バッテリーはリチウムイオンバッテリーを採用。バッテリーの状態を常に監視するバッテリーマネージメントユニットを内蔵。ワンタッチで脱着可能。
バッテリーはリチウムイオンバッテリーを採用。バッテリーの状態を常に監視するバッテリーマネージメントユニットを内蔵。ワンタッチで脱着可能。
バッテリー、EVコントローラー、インバーター、メーターといった回路のデータ転送にはクルマでおなじみのコントローラーエリアネットワーク(CAN)通信方式を採用。
バッテリー、EVコントローラー、インバーター、メーターといった回路のデータ転送にはクルマでおなじみのコントローラーエリアネットワーク(CAN)通信方式を採用。
スロットル開度とモーター回転速度からモータートルクを演算し、インバーターへ指令するEVコントローラーをシート下に搭載。回生時はバッテリーに充電。
スロットル開度とモーター回転速度からモータートルクを演算し、インバーターへ指令するEVコントローラーをシート下に搭載。回生時はバッテリーに充電。

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