オオカミ男のひとりごと


HERO‘S 大神 龍
年齢不詳

職業フリーライター

見た目と異なり性格は温厚で性質はその名の通りオオカミ気質。群れるのは嫌いだが集うのが大好きなバイク乗り。

時折、かかってこい!と人を挑発するも本当にかかってこられたら非常に困るといった矛盾した一面を持つ。おまけに自分の評価は自分がするものではないなどとえらそうな事を言いながら他人からの評価にまったく興味を示さないひねくれ者。

愛車はエイプ100、エイプ250、エイプ900。

ショットガン・パーティー2012 今宵、聖地は満員御礼!!

 時は2012年秋。11月の第一週末・・・・すでに年は明け、2013年もふた月を過ぎようかというのにこのコーナーは激しく遅れ遅れで進んでいる。そのあたりの時差はあまり気にしないで読んでもらいたい。
 とにかくこれから語る出来事は2012年秋、瀬戸内海に浮かぶ小さな無人島が舞台となっている。そこまで言えばおわかりだろう。そう、オレ自身が主催を務める見近島ショットガン・パーティー。しまなみ海道沿いにある無人島を占拠して行うバイク乗りの飲み会だ。もう何回目になるのだろうか。正確には覚えていないが8回目くらいのような気がする。
 一番最初の頃に比べるとここ数年、この見近島の認知度は比較にならないほどアップした。特にカブを始めとするミニバイクで旅する者の間では知らぬ者はいないと言われるほどだ。超穴場だった頃、オレはここを“オレの島”などとのたまっていたが今そんな事を言おうものならどんな反撃を食らうかわかったものではない。隠れ家的なお気に入りの場所ももう隠れ家とはいえなくなってきた。
 だが、まぁいいだろう。それでもオレはこの場所が好きだ。今年もここに仲間を呼んで共に酒を呑みながら語り合う。とは言ってもやはり多少オレの中にここが知れ渡った事に対する抵抗があったのだろう。今まで散々自分で宣伝しておいていざ賑やかになってしまうとそれを疎ましく思う。まったく、我ながらつくづく身勝手な話で少々、自己嫌悪にすら陥ってしまいそうだ。

 そんな事もあって今回に関しては初めてどこにも告知を打たなかった。いままで来てくれていた仲間からの問い合わせや何人かのリピーターに対してのみメールを送るにとどめた。だがしかし、スマホなどの普及にともない、ネット上にあるいくつかのコミュニティーサイトによる情報網の広がりはオレの想像をはるかに超えたものだった。


前日から島入りしたじゃくさん。当日朝の用事さえなければオレも前入りして一緒にジミにやりたかったのだが・・・残念
前日から島入りしたじゃくさん。当日朝の用事さえなければオレも前入りして一緒にジミにやりたかったのだが・・・残念。

 開催当日の正午少し前にオレは島に着いた。前日から島入りしていた愛媛のじゃくさんがこのショットガンとは関係なく島に来ていたバイク乗りと話し込んでいる。良い光景だ。日常から離れた場所での一期一会。じゃくさんのテントから離れた木陰にテントを立てていたので気づくのが遅れたが名古屋のシンパパも来てくれている。今年は昨年の一気走りなんて無謀なマネじゃなく途中で宿をとったりしながらのんびりと来てくれたようだ。









カブ各種、モンキー、ゴリラにスクーターとありとあらゆるミニバイクが島に上陸。その内訳は販売台数に比例してダントツでカブ率高し!!

埼玉の吉岡氏は筋金入りのホンダ党。この日は激レアなCB125で登場!と言ってもマシンは事前に岡山の仲間の所に預けてそこまで本人は新幹線で来たんですがね

新潟からえっちゃん、アミコちゃん来島。えっちゃんは体調不良をおしての参加。アミコちゃんは宴会デビューが俺節、免許を取っての一発目がショットガンという経歴を構築
埼玉の吉岡氏は筋金入りのホンダ党。この日は激レアなCB125で登場!と言ってもマシンは事前に岡山の仲間の所に預けてそこまで本人は新幹線で来たんですがね。

新潟からえっちゃん、アミコちゃん来島。えっちゃんは体調不良をおしての参加。アミコちゃんは宴会デビューが俺節、免許を取っての一発目がショットガンという経歴を構築。

 キャンプの準備をしたりしている最中、近県を中心としたバイク乗りが次々と島に入ってくる。そんな中、オレの携帯に一本の連絡が入った。新潟のえっちゃんからである。伯方島の道の駅に到着したらしい。はるばる雪に埋もれた北の地からきてくれた。
 もともとは秋のはじめに昨年同様、四国を旅する計画を立てていたのが時間的に都合がつかなくなりこのショットガンに照準を切り替えたとの事だった。しかも今回はこの夏の俺節で顔を合わせた友達のアミコちゃんを連れて一緒に来ている。アミコちゃんはその後、中型の二輪免許を取得し見事、バイクデビューを果たしたらしい。この事についてオレは事前に連絡を受けていたので特にこの場でびっくりしたというわけではない。それどころか彼女らの要望に応えてテントまで用意するというサービスっぷりだ。オレは早々にえっちゃんらを迎えに行き荷物共々彼女らを送迎した。
 まぁそんな話をすれば不公平だなんていう奴もいるだろう。だがこればかりは仕方がない。女性に異常なまでの優しさを見せるのは雄オオカミの典型的な特徴なのだ。それにこの世に公平というものは言葉でしか存在しないのだよ。もし気づいていないなら早く認識すべきだ。なんにしてもこれがパーティーを名乗っている以上、華があるのはいい事だ。ここ数年で言えばこのショットガンには女性が結構多く来てくれている。嬉しい話である。


昨年と異なり今年の天候は晴れ。長い旅を経て島に辿り着いた者は早々にくつろぎ宴が始まっていく

この時期、日が暮れてからはかなり冷える。夜にむけて焚き火を準備する。別に強制的にやらせてるわけじゃない。皆でちょっとずつ協力して本格的な宴会に備える

昨年と異なり今年の天候は晴れ。長い旅を経て島に辿り着いた者は早々にくつろぎ宴が始まっていく
昨年と異なり今年の天候は晴れ。長い旅を経て島に辿り着いた者は早々にくつろぎ宴が始まっていく。 この時期、日が暮れてからはかなり冷える。夜にむけて焚き火を準備する。別に強制的にやらせてるわけじゃない。皆でちょっとずつ協力して本格的な宴会に備える。

 そうこうしている間にも間断なくカブを中心とするミニバイクがやってっくる。近県の次にやってきたのは九州勢。これがまた多い。すでにあちこちでいくつかの輪ができてそれぞれで呑みが始まっていた。夕方には参加者は50名を超え、島のキャンプサイトはテントで埋め尽くされている。この後来る奴はどこにテント立てるんだ? なんて声が聞かれるほどだ。
 ひとまずオレはここで全員を呼んで軽く乾杯した。するとその直後くらいに隣の大島から矢野氏がカブのリヤに大きな釜を積んでやってきた。今ではすっかりこのショットガンの名物となった鯛めしの登場だ。昨年、30名ほどの参加者に対して一升炊きの鯛めしがあっという間になくなったため今年は二升炊いて、炊き立てを釜ごと持ってきてくれた。

 しかし・・・本格的な宴会スタートに備えて腹ごしらえと皆に声をかけ、配給が始まるとまるで投げ込まれた肉に群がるピラニアのように人が押し寄せ二升あった鯛めしはものの1、2分で完売。まさに瞬殺である。もってきてくれた矢野氏も信じられないといった表情でびっくりしている。だが提供する側からすればこれは嬉しい限りだろう。


今やショットガン・パーティー名物となった鯛めしの登場。奥さんがしまなみの観光関係の仕事に携わっている矢野氏の好意によりこれが毎年届けられる。とにかく大人気!
今やショットガン・パーティー名物となった鯛めしの登場。奥さんがしまなみの観光関係の仕事に携わっている矢野氏の好意によりこれが毎年届けられる。とにかく大人気!

本当に大げさな物言いではなく鯛めしは2分足らずで完売した。オレは多めによそった人から一口もらっただけ。楽しみにしていたのに・・・

本当に大げさな物言いではなく鯛めしは2分足らずで完売した。オレは多めによそった人から一口もらっただけ。楽しみにしていたのに・・・
本当に大げさな物言いではなく鯛めしは2分足らずで完売した。オレは多めによそった人から一口もらっただけ。楽しみにしていたのに・・・。

時間を追うごとに宴は盛り上がっていく。参加者はチームやそのジャンルの枠を超えてそれぞれが交流を深めていく

時間を追うごとに宴は盛り上がっていく。参加者はチームやそのジャンルの枠を超えてそれぞれが交流を深めていく

時間を追うごとに宴は盛り上がっていく。参加者はチームやそのジャンルの枠を超えてそれぞれが交流を深めていく

時間を追うごとに宴は盛り上がっていく。参加者はチームやそのジャンルの枠を超えてそれぞれが交流を深めていく
時間を追うごとに宴は盛り上がっていく。参加者はチームやそのジャンルの枠を超えてそれぞれが交流を深めていく。

 すっかり日も暮れて、オレは再び全員を集めて乾杯をする事にした。予想をはるかに超えて集まったバイク乗りたちを前にどんな気の効いた言葉を投げてやろうか。そんな事を考えながらしゃべり始めたオレの言葉は誰かの“乾杯ぃ!!”の声に寸断され一気に宴会はスタートしてしまった。だがなぜか悪い気分ではない。いや、むしろこれでよかったのかもしれない。なんせオレが思い描いていたのは辛気臭い言葉ばかりだったのだから。
 この時、オレの頭の中に出てきたのはここに来れなかった仲間の顔ばかりだったからだ。仕事や用事で来れないというのではない。本当にもう来れないのだ。この日の翌日は5年前に事故で亡くなった仲間の命日になる。さらにここ1、2年で事故や病気で亡くなったり寝たきりになってしまった仲間の顔をオレは思い浮かべていた。だがそれは自分で想っていればいいことで初めて顔を合わす人も多いこの場で語るような事ではない。楽しむために皆はここにいるのだから。オレにしたってそうだ。もしやつらの顔が思い浮かんだならやつらが地団駄踏んで悔しがるくらい楽しむべきだろう。


本格的に乾杯をした後、皆で記念の一枚。今回、初参加、そして遠方組多し。また気が向いたらこれとは関係なくこの島に来て欲しいものだ
本格的に乾杯をした後、皆で記念の一枚。今回、初参加、そして遠方組多し。また気が向いたらこれとは関係なくこの島に来て欲しいものだ。

すっかり日が暮れ、宴会最中にあっても次々とバイクが島にやってくる。さぁ楽しんでいってくれ。ここがオレ達の島だ!

すっかり日が暮れ、宴会最中にあっても次々とバイクが島にやってくる。さぁ楽しんでいってくれ。ここがオレ達の島だ!

すっかり日が暮れ、宴会最中にあっても次々とバイクが島にやってくる。さぁ楽しんでいってくれ。ここがオレ達の島だ!
すっかり日が暮れ、宴会最中にあっても次々とバイクが島にやってくる。さぁ楽しんでいってくれ。ここがオレ達の島だ!

やはりキャンプに焚き火は欠かせない。ほとんどのキャンプ場で直火禁止が当たり前の現在、それだけの事をとってもこの島のキャンプ場は貴重

前の3人が北のツワモノ達。左の菅原氏は岩手、えっちゃん、アミコちゃんは新潟から。寒いのに慣れているだけあって11月にあってしまなみの気候は超暖かいらしい
やはりキャンプに焚き火は欠かせない。ほとんどのキャンプ場で直火禁止が当たり前の現在、それだけの事をとってもこの島のキャンプ場は貴重 前の3人が北のツワモノ達。左の菅原氏は岩手、えっちゃん、アミコちゃんは新潟から。寒いのに慣れているだけあって11月にあってしまなみの気候は超暖かいらしい。

 焚き火が焚かれあちこちで輪が出来、宴会は盛り上がっていく。そしてそれがある程度、落ち着いた頃、オレはリクエストに応えてショットガンをスタートした。実際の所、今年は大々的にではなく飲みたい奴らだけでちまちまやろうと思っていたのだが・・・なんせ今までのように一人一人自己紹介しながらやってたらこの人数では時間がかかりすぎる。それでも今回は初参加が多く、せめてその人達にはこのカクテルを飲んでもらおうとショットガンスタートに踏み切った。
 で、結果的にはやればやったでやはり盛り上がる。実はこのカクテル、女性に大人気なのだ。もともとは、もう10年以上も前に何人かの仲間でちょっとカッコイイ呑み方をしようぜと言って始めたのがこのショットガンというカクテルだった。これを何回かやってるうちに気づいた事がある。まずベースがテキーラというキツイ酒であるにもかかわらず飲みやすくウマイ。そして飲みずぎると記憶をなくす。しかし記憶が飛んでしまうほど身体に作用していながら翌朝の目覚めはすっきりしているという点である。つまり呑み過ぎさえしなければ非常に良質のお酒なのだ。

 夜になってもポツリポツリとバイクが島に入ってくる。ショットガンが落ち着いた頃、キャンプサイトの入り口付近では、やってきたゴリラを何人かが囲んでいる。誰だろうと思い、そこへ近づいていくとバイクの主がヘルメットを脱いだ。驚くよりも前にオレはなんでこの人がここにいるんだ? と。岩手から菅原氏来島である。訊くとたまたまお金があって、たまたま時間ができてたまたまゴリラが手に入ったから来たというがじゃあ、そのたまたまにいくら使ってるんだって話になる。なんてバカなんだ。菅原氏とは今年は何度か色んな所で会った。先月も狂宴で顔を合わせたばかりで今となってはレア感はないがこのショットガンにきてくれたという事になると話は別だ。オレは「なんで?」という言葉を口にしかけて呑み込んだ。それが愚問であるという事に気づいたからだ。訊いた所で「そうしたいからした。」というに決まっている。他人から見ればあまりにも馬鹿げた行為であっても本人が決めて起こした行動に口を出す権利は誰にもありはしない。しかもオレ自身、同じように色んな所へ出向いて周りからバカだアホだと言われながらもそれが決して無駄な事ではなくこの先、大きな何かを手に入れる一つのきっかけになるということを嫌というほど知ってるのだからなおさらだ。菅原氏は疲れた様子も見せずすぐさまビールを取り出し皆と乾杯を始めた。これだからバイク乗りは面白い。
 予想をはるかに超える参加者の数と想定外の来島者に翻弄されながらもパーティーは続いていく。みんな笑顔だ。この時間を心いくまで楽しんでここでの事をきっかけに今後のバイク人生を豊かにしていってくれれば何も言う事はない。


一夜明けてそれぞれが帰りの準備に入る。みんなの協力もあって何の問題もなく今年もショットガン・パーティーは幕を閉じた

一夜明けてそれぞれが帰りの準備に入る。みんなの協力もあって何の問題もなく今年もショットガン・パーティーは幕を閉じた

一夜明けてそれぞれが帰りの準備に入る。みんなの協力もあって何の問題もなく今年もショットガン・パーティーは幕を閉じた

一夜明けてそれぞれが帰りの準備に入る。みんなの協力もあって何の問題もなく今年もショットガン・パーティーは幕を閉じた
一夜明けてそれぞれが帰りの準備に入る。みんなの協力もあって何の問題もなく今年もショットガン・パーティーは幕を閉じた。

旅の締めくくりは自宅までひとっ走り。最後まで気を抜かずそれぞれの旅を完結してくれ。そしてどこかでまた会おう

旅の締めくくりは自宅までひとっ走り。最後まで気を抜かずそれぞれの旅を完結してくれ。そしてどこかでまた会おう

旅の締めくくりは自宅までひとっ走り。最後まで気を抜かずそれぞれの旅を完結してくれ。そしてどこかでまた会おう
旅の締めくくりは自宅までひとっ走り。最後まで気を抜かずそれぞれの旅を完結してくれ。そしてどこかでまた会おう。

道の駅の自分の車まで荷物を積んでえっちゃんエイプ初体験。走って帰ってきた時の彼女の感想は・・・怖い! 私には無理!!・・・だそうです。自慢の愛機は嫌われてしまいましたな
道の駅の自分の車まで荷物を積んでえっちゃんエイプ初体験。走って帰ってきた時の彼女の感想は・・・怖い!私には無理!!・・・だそうです。自慢の愛機は嫌われてしまいましたな。

 今回、この島のキャンプサイトにおいてはキャパの限界ではないかと思えるほどの数のテントが張られた。実際、何人来たんだと訊かれてもオレは正確には把握していない。後で訊いた話だと70人近くいたと言う事だがそれだけ人が集まると問題も起きてくる。ここでは無理に酒を呑むように勧めることと125cc以上のバイクを乗り入れることは厳禁である。だがそれが破られる事態が多少なりとも発生してしまった。もちろん大きいバイクで来た人には帰ってもらったし、酔った勢いで無理に酒を勧めていた者にはやめてもらった。だがこの責任の一端はオレにもある。なんせ告知をまったく打っていないのだ。細かい注意事項などがちゃんと伝わっていない以上、起きたのが当たり前ともとれる。もし、来年もやるのならそのあたりは考えなければならない。
 来年・・・・どうしようか!? 要望は多い。だが面倒くさい。でも楽しい。人集めが目的ではない。しかし多くのバイク乗りが来てくれるのは誇らしくもある。相反する想いがオレの中には間違いなくある。そしてそのどちらもオレは隠すつもりはない。普通にみれば言ってることとやってることが矛盾しているって事になる。それを人によっては表の顔、裏の顔と区別してしまうかもしれない。人は自分に都合のいいほうを表とみなす傾向にある。だが結局の所それはその人が持つ違った一面でしかないのだ。その事を理解していただきたい。
 それでも・・・・結局、やるんだろうなぁ。そして終わった後、いつもこう思うんだ。やってよかったと。


この日、いまだかつてない数のバイク乗りを取り込んだ見近島。今年も色んなかたちの出会い、再会があった。これからもヨロシク!!
この日、いまだかつてない数のバイク乗りを取り込んだ見近島。今年も色んなかたちの出会い、再会があった。これからもヨロシク!!

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