Hi-Compression Column

アッキーがキタ

■嗚呼、悲しきかな。ぺーぺー時代・・・・

(2010.10.8更新)

さあ、始まりました今月のコーナー。身内からは結構読んでるって言われるのだが、読者サマ的にはどーなのか? 一抹の不安を持つオレであるが、まあ何人かヒマな人は読んでくれてるでしょ、と自分に言い聞かせ(小っさいなあ、オレ)、今月もまたバカ話を書きましょう。

あれはかなーり昔、オレがまだ駆け出しのライターで、このWEBも展開し、ミスター・バイクBGなどいろいろと編集している東京エディターズでは、ほんと使いっぱしりをちょっと卒業したくらいの、たぶん16年くらい前のお話。

当時、ゴーグル誌のスタッフだったワシ氏(自分のことをワシというのでそういうあだ名がついた。本名は怖くて書けない)からリンリンと電話が鳴り(携帯はまだない)、何かと思えば 「仕事やらせてやる。今すぐ来い」との内容。

ぶっちゃけ当時は大した仕事も無くビンボーだったので、早速バイクで東京エディターズに向かったオレ。すると、目の前にはいったい何台あるんだと思えるほど山積みになったカスタムバイクの写真があった。むむ、これを整理しろとか、そーゆー仕事なのかな、と思いきや、ワシ氏はいきなりこう言った。

「他の編集部員も書くけど、この写真のカスタムについて原稿書け。締め切りは明日の朝だ」

んが! もう夜の10時近く・・・・・。む〜う、徹夜か〜、と思っていたら、ワシ氏が言った。 「一台書いたら500円やる」(コレ重要な言葉)

このコトバがオイラを奮い立たせた! 

まだ駆け出しライターだが、一応当時から原稿執筆の速さだけは自身があったから、いけるとこまで書いてやる! と、バッシバシとパソコンを目の前にキーボードを叩き始め、1台書いては「ごひゃくえん!」2台書いては「せんえん!!」と、ザクを次々と倒すガンダムのアムロのごとく、どんどん執筆を続けていた。

ちなみにワシ氏はその作業中「ちょっと出かけてくる」と言ったきり帰ってこず、手伝ってくれるはずの他編集部員も、なんだかんだ自分の仕事が忙しくてほとんど手を出さず状態。写真の山には、100台近くのカスタムバイクが埋もれている・・・。

そうこうしているうちに朝が訪れ、結果として87台ものカスタムの原稿を書き終えたオレは「むふ〜、単純計算でも4万以上はカタい」とウキウキルンルン。

当時乗っていたビラーゴチョッパーのマフラーを換えようかとか、いろいろと嬉しい妄想に浸っていたところへ、ワシ氏が何食わぬ顔で出社してきた。

おう! 待ってましたぜ、大将!  とばかりに「がんばってこれだけ書きました」というと、どうやらオレがそれほど沢山書くとは思っていなかったらしき彼は、そしらぬ顔で驚愕の発言をした!

エディターズのバイトは日当5千円だけど、今回は徹夜させたから思い切って7千円やる

おおおおお、おーい! 一台500円って話はどこいった!! 4万以上が7千円かいっ!

いくら何でもその手の平のかえしようはないだろっ!!! 

つーことで、一応ぺーぺーらしく「いや、最初は一台500円って言ってたような……」と抗議すると、彼は「しょーがないなぁ。これやるから」と、使い古した感じのCD-ROMドライブを差し出してきた。

当時、CDドライブ(書き込みできない)はまだ値段が高かったのだが、それでもせいぜい2万も出せば買えるモノ。だが、ビンボー故にオレの家のパソコンにはCD-ROMドライブが付いていない・・・・・。

結果、日当7千円と、そのドライブを貰い、オレはとぼとぼとビラーゴで家に帰った。

むう、今思い出しても腹立たしい!

でもまあ、ワシ氏にもいろいろ教えて貰ったし世話にもなったから、今じゃただの笑い話なんだけどね。


[第3回|第4回|第5回] [バックナンバー目次へ]



アッキー加藤
アッキー加藤
アメリカン、チョッパーなどそっち方面が主戦場のフリーライター。見かけはご覧のようにとっつきにくそうが、礼節をわきまえつつ、締切も絶対に守り、かつ大胆に切り込んでいく真摯な取材姿勢で業界内外で信頼が篤い。ここまで書くとかなりウソくさいが、締切うんぬん以外はそれほどウソでもない。

目次
↑クリックするとMBHCC目次に戻ります
バックナンバー目次
↑クリックするとバックナンバー目次に戻ります