Hi-Compression Column

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衛藤達也


1959年大分県生まれ。大分県立上野ヶ丘高校卒業後、上京し日本大学芸術学部写真学科卒業。編集プロダクションの石井事務所に就職し、かけだしカメラマン生活がスタート。主に平凡パンチの2輪記事を撮影。
写真修行のため株式会社フォトマスで (コマーシャル専門スタジオ)アシスタントに転職。
フリーになり東京エディターズの撮影をメインとしながらコマーシャル撮影を少しずつはじめる(読者の方が知っているコマーシャルはKADOYAさんで佐藤信哉氏が制作されたバトルスーツカタログやゴッドスピードジャケットの雑誌広告です)。
12年前に大分県に戻り地味にコマーシャル撮影をメインに活動中。
小学校の放送部1年先輩は宮崎美子さんです。全く関係ないですが。

ギャラリーとか個展とかアトリエとか、そういう分野とは縁がないと思っている方、多いんじゃないでしょうか。それはともかく、バイクのイラストとか写真とかだって立派な芸術です。このコーナーでは、そんなみなさまの作品を紹介させていただくギャラリーです。じっくりとご覧下さいませ。
(2011年1月20日更新)

楽しかった五葉光との撮影の想い出 その1

新年あけましておめでとうございます。
今月も、いや今年もやはりファン激増中?! エト・カメラマンに登場していただきます。
新年一発目は1980年代中盤に彗星の如く出現した、なつかしのあの人のお話です。 

今月も、今やるとたいへんなお叱りを受けそうな話も出てきます……もう時効と、読み流してくださいね。
では、わたしを連れていって。プレイバック1987!(このコーナーの企画意図がこういう風になりました)



「初めての海外ロケと五葉光」の話


トビラ
※残念ながら写真の原板は発見できませんでした。スキャンした本誌1987年11月号でご覧下さい。

先日、久しぶりに五葉光(五葉光鐵。以下五葉)から電話がありました。
姪がわたしと同郷、同名字の人と結婚するのだが、親戚じゃないか?と。             
 残念ながら親戚ではなかったのですが、今回は五葉の声を聞いて思い出したアメリカツーリングの話です。


きっかけは、I 井さん(前号のこのコラムで紹介させていただいたミスター・バイク伝説の編集部員)の「エトー、アメリカ行きたくねーか?」から始まった。
アメリカどころか海外に行ったことがない私には断る理由もなくすぐOK。
一緒 に行くのは五葉光だと言う。

 五葉……光? 誰? 

 コラムをほとんど読まない私は、光と言えば宮城光(元祖ドライダー)か、伊勢ひかる(自称最速のカメラマン、現・リンゴ農家)ぐらいしか知らない。
 ミスター・バイクに連載されていたコラム「五葉に御用は」を改めて読み返して五葉が坊主だということを知った。
 さらに当時ミスター・バイクが某旅行会社と共催していたBIKE PACKING U.S.Aというアメリカツーリングの添乗キャラクターに抜擢されたらしいことも解った。
 それで、アメリカツアーの記事ページを作るにはカメラマンが必要ということで私が選ばれたのだった。
 初めての海外ロケ、撮り直しはできない。
「巻頭カラーでやるワケ」
「お芸術を沢山とってくるワケ」(その頃よく言われたフレーズ)
「表紙に使えるような凄いお芸術も必ずおさえてくるワケ」
 I 井さんからの胃が痛くなるようなプレッシャーをがんがんかけられた。
 普通は旅行に行くとなると,わくわくして眠れなくなるがまだまだ駆け出しのカメラマンの私にとって、不安だらけで眠れなかった。とりあえず、行くしかない。腹をくくった。
 hiroさん(現地 コーディネーター)に頼れば何とかなるだろう……

出発当日,成田で五葉に初めて逢ってびっくり。
けっ袈裟着てるよ。
どーも、この格好でアメリカ行くらしい。
大丈夫か。
アメリカに入国できるのか。
 もの凄ーく不安な気持ちなままアメリカに到着するも、五葉は何事も無くもなくイミグレーションをパスした。

巻頭カラー
→I 井さんは約束通り巻頭カラー6ページを組んでくれました。あの頃は景気も良かった。もう、こんな仕事こないんだろうな……
 


 まずはロスの町中を自由観光。どーせ、仕事だし,お土産を買う暇なんてないだろうとチャイナタウンのTシャツ屋にはいる。
 うっすらわかる英語で会話をしてシャツに文字を入れるか聞かれ
「OK OK」とてきとーに返事をした。
「ほれできた金を払え」
「おいくらですか?」(もちろん英語で)
「200ドルだ」
「それは冗談であると希望します。わたしは」(もちろん英語で)
 ごっついお店のおじさんは笑いながら「冗談だよ65ドルだ」と。
 えー! Tシャツが1枚で65ドル!? 冗談ではなくて??
 ごっついおじさん、二度目は笑っていなかった。文字を入れてもらったから返品できない。
 このままでは撃たれる。着いて間もなく撃たれたら仕事ができなくなる。みなさんに迷惑をかけてはいけない。
 しょうがないので泣く泣く払いました。
 この後、絶対に値段を聞くまで 買わない! と誓った(聞くのが当たり前ですけど)。


バスに戻ると五葉が凄ーく浮かれているじゃない。
「エトーさん、この格好が大人気じゃ。お店に入るとほれこんなにただで土産をくれたんじゃ。わしは人気者じゃー 」
わたしは殺されそうになっていたのに……

あっ、そーだ、お土産買ってる場合じゃない。仕事しなきゃ
 我に返り五葉を引き連れて撮影を始める。
 ベンチに横になっている怪しい人の横に座らせたり、五葉の提案でアメリカらしいところで写真を撮ろうと、 行李を背負って走っている写真や信号機に登っている写真を撮ったと思う。
 五葉も仕事の意識は有るらしく色々小道具を用意してくれ、色々な撮影の提案をしてくれてとても助かった。


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