今月の一言
“off the top of my head”
(オフ ザ トップ オブ マイ ヘッド)
(2011年3月17日更新)
バイクは「環境対策」って理由でインジェクションになったけど、燃費は落ちたように思う。
薄く走らせても壊れないように設定できるからインジェクションなんじゃないのもしかして……。
排ガス関係で規制に合致しても、燃費が落ちたら結局環境に悪いじゃぁん?
バイクに乗ることはエコだ! 決してエゴではない! と声を張り上げてきたバイクライフ。
ところが最近になってバイクは趣味性が高くなり、
「趣味でガソリン燃やして、オイル使って、タイヤ使って、路面を傷めて。バイクに乗ること事態が反社会的で環境保護の対極にある」
と強く言われてしまった。しかもバイク乗りに。
そんなこたぁないでしょうよ。
だって普段から、リッター10キロも走らないような車の変わりに、リッター30キロ以上走るピンクナンバーに乗ってるんだから。
重量が100キロにも満たず、タイヤもこんなに小さい。
ガソリンもオイルもタイヤも、あらゆる消耗品が四輪に比べたら笑ってしまうほど少ない。
さらには省スペース、造るにも省資源、もうね、言うことナシです。
反対意見をガッツリ押しのけて、やはりバイクはエコだと声高に宣言したいと思う。
うん、オススメはカブ110ですね。速い、壊れない、燃費バカ良、積載性OK、そして遠心クラッチで誰でも乗れる。パーツだってどこでも手に入るから災害にも強い。うーん、理想。
先日、知り合いのバイクショップにお爺さんがハーレーで乗りつけて、「これを下取りにしてカブ110をくれ」と言ったそう。
えぇそんな! なんでよ!? と返したところ。
「俺は一生バイクに乗りたい。そしてアガリのバイクはカブと決めていた。今カブに乗り換えて、死ぬまで乗る」と言い放ったそうな。
男だね。ライダーだね。カッコいいね。
うん? 逸れたな……。エコの話か。
だけど。最近久しぶりに大きなバイクも買いました。そしたらなんと、リッター17キロしか走らないの!
WEBミスター・バイクを作ってる会社の社長はオデッセイに乗ってるんだけど、しっかり4人乗って、ソコソコ飛ばしてもリッター14キロも走っちゃう。
なんだよ!ビッグバイクってダメじゃん!
バイクは2輪しかないんだから、車の倍は走らないと!
さらに言えばタイヤも前後で5万円ぐらいするし、やたらと太くてこれもイケナイ。省資源じゃないよね。
ううむ、バイクはエコという自分の幹が揺らぐぜ。ビッグバイクはやめよう。
で、そんなタイミングでこの地震。ガソリンが買えない。方々で渋滞。
もちろん乗るのはピンクナンバー。大きなバイクは持ってるだけで全然乗らねーの。それこそムダですよ。
うっぱらってそのアブク銭を日本赤十字社に寄付してやろうかという考えがof the top of my headから出ましたよ。
おっと! ここで突然、グダグダのブログみたいな展開から「バイクの英語」に引き戻されるわけか! 策士だねぇ(?)
この言い回し、なにか突拍子もないことを思いついたときに、そのアイディアが一体どこから来たのかわからないときに使います。
直訳時の意味は「頭のテッペンからきた」となりますが、頭上周辺に自分でも認識してないアイディアが浮遊しているって事でしょうかね。
そういえば漫画とかで、何か思いついたときって頭の上で電球がつくね。
あれもこの類なのかな。どうかな。
この語源には諸説ありますが、有力な物を一つ。
※ ※ ※
もちろん、ヨーロッパ発の言い回しである。
しかも他の多くの言い回しもそうであるように、スカンジナビア半島からバイキングと共に持ち込まれたという説が有力だ。
バイキングたちはロングボートと呼ばれる底が広い船に乗ってやってきた。
水につかっている部分が少なかったために、浅い川もさかのぼってくることができ、内陸部まで一気に侵攻することができたという歴史は有名なところだろう。
もう一つ有名なことは、バイキングとは仲間同士での勇敢さを競う癖があったことで、決して恐れを知らない部族とされていることである。
今でも勇敢に、友情に溢れ、そして敵には容赦ないそのあり方を称えて、そういった人を「バイキングのような」と言うことがあることでも、そういったバイキングの性格が広く認知されていることがわかるだろう。
しかし、その勇敢さは時としてプライドを必要以上に高めてしまうことにもなり、少数部族の集合体であったバイキング勢力同士で小競り合いが起きることもしばしばあったのだ。
恐れを知らない猛突進で恐れられたバイキング、その気持ちが隣の部族よりもさらに勇敢でありたいと、いい方向に働いた時には非常に効果的な軍隊となったのだが、それぞれが蛮勇を競うようになると途端に破綻してしまうのであった。
そんな状況になると、各部族間で小さなミーティングが行われたそうな。
次の攻撃は誰が指揮を取るのか、どの部族が中心となるのか、どういった作戦でいくのか……。
これらの事項について、各部族の幹部は思い思いにアイディアを出しまくる、今で言うブレーンストーミングを行った。
しかし彼らは冷静な話し合いを長々と続けられるようなタイプではなく、部族間でも自分の意見を通すためには実力行使が当たり前。
そんなことでは敵に効果的な攻撃を与える前に仲間割れが起きてしまう。
ここで導入されたシステムが、部族の長が頭にかぶっているヘルメットを使った決定方法。
バイキングがかぶる戦闘用ヘルメットは動物の角や羽などが装着された物が多かったが、族長のヘルメットにはこういった状況を打開するためのルーレット的な機能が付け加えられていたのだ。
よって話し合いが難航した場合、族長がfrom the top of my helmet(私のヘルメットの上より)と宣言し、このルーレットを用いて最終決定をなしたそうだ。
非常に単純に聞こえることかもしれないが、彼らはヘルメットに角や羽など自然界のものを装飾することで神が宿ると信じており、ヘルメットは崇拝の対象ともいえる特別な存在だったのだ。
そのヘルメットが下す決断は、各部族長たちを納得させるに足る物だったのである。
※ ※ ※
いかがですか?
なるほどと思う反面、あれ? とも思うでしょう。
ということは、この言い回しは多くのアイディアの中からひとつを決定する時に使われていたことになるじゃないか、と。これがいつから「あまり深く考えていない思い付きのアイディア」そのものを指すようになったのかは、正直不明です。
推測するには、馬鹿げたようなアイディアを提示した際に「そんなアイディアではヘルメットに聞くまでもない」といった使い方へと発展したのではないでしょうか。時と共に言葉は変化する物です。
幸い、アライヘルメットのテッペンにはルーレットがついておらず、買ったばかりのビッグバイクを手放そうかという思いつきは神に聞くまでもなく、自ら急いで打ち消しました。
でも少しでも被災者のためにと思い、日本赤十字社に少しばかり寄付はしました。
ビッグバイクに乗れる経済力がある人ならば、いかがですか、一口。
- レオン・チャミア