- HERO‘S 大神 龍
その3日後、オレはマシンをシェルパにスイッチして毎年恒例となった隠岐を目指した。
朝出港のフェリーに合わせて前夜出発したのだが、スタートして1時間もしないうちに豪雨に見舞われた。
それもただの豪雨ではない。台風真っ只中の暴風雨だ。
明け方、港に着く頃には雨風も幾分収まっていたがこの日、フェリー欠航の恐れが浮上していた。聞くと波の高さ5メートルで欠航だという。
で、この日の朝の波の高さが5メートル。なんとかギリギリで出港はしたものの激しい揺れでここでもオレはゲロゲロの状態に。
おまけに西ノ島に着くと島側ではこの日のフェリーは欠航と発表されていたらしく先着組みは誰も出迎えに来ていないし。
キャンプ場に着くと先着組は疲れきった表情で憔悴しきってる。先日の暴風雨でほとんどのテントが浸水したようだ。
そんな初日から3日間というもの晴れ間はまったく見えず降ったり止んだりの天気。
2年前楽園であった外浜の海水浴場は人影もなく夏らしさは微塵もない。
観光名所である摩天崖はガスって何も見えないし。
結局、島での最初の3日は買出しして呑んで食って……のみ。
なんとか4日目にして晴天の予報が出てはいたがその青空を待たずして隠岐合宿組のほとんどが撤収。
いつもは最終日まで粘るがんじーすらも島をあとにした。
その4日目、やっと顔を覗かせた夏の日差しの下、オレは島内を走り回った。
夕方のフェリーで帰って行くスナフキンを見送ると残ったのはオレ1人だ。まぁこんな事もあるさ。
夜は島の祭を見物し、キャンプ場に戻ると何だかんだ言って淋しさが込み上げてくる。だがその一方で独りの心地よさが存在するのも事実。
賑やかだったこの夏の旅の余韻に浸りながら独りで過ごすのも悪くない。
だが苦行のような夏はまだまだ終わらない。
隠岐から戻って5日目。新しく創刊される雑誌の取材でオレは四国の愛媛へ。
猛暑の中、カメラマンを後ろに乗っけての撮影やらでヘロヘロになりながらも原稿を書き上げ、8月の最後に予定していた長崎行きの目前でオレは倒れた。
まったくもって無念である。だが…………まだまだ死んじゃいない。
そしてまったく懲りてもいない。秋になりまた別の体調不良に見舞われながらもオレの行動はその愚かしさをエスカレートさせていく。
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