- HERO‘S 大神 龍
翌朝の天気は非常にビミョーな状態。雨こそ降ってはいないが空は分厚い雲に覆われている。
この日は愛知で行われてる太陽の宴に帰り途中の参戦だ。他にもオレと同じく参戦表明している者、4名。テンドウ氏、チャッキー、星野氏、そしてこの後九州まで行くと言う須藤君にオレを加えた5名は名古屋方面を目指し会場をあとにした。
ルートは来た道をそのまま戻る形で東北、磐越、北陸道経由。テンドウ氏とチャッキーのマシン(V-MAXとFZX750)のタンク容量を考慮して燃費走行をしようなどと意見がまとまったのだがこの面子で走ってそんな約束事が守られるはずもなく高速に入ったとたんいきなり始まった。
途中、こまめな給油を兼ねて休憩しつつもあまりのハイペースゆえに距離はどんどん進んでいく。
北陸道から長野道を経由して中央道へ。ほとんどペースを落とす事は無かった。
途中、面白がってジャンケンをして「そいつの人間性を見る」などといって先頭を決めたりしてみたが結局、どいつもこいつも同じだ。
一言で言うなら“負けず嫌い”。まぁそれも仕方ないだろう。なんせ全員が生粋のバイク乗りなのだから。
この道中では走りに対するコンセントレーションのおかげかオレの気管支炎は治っちまったんじゃねぇか!?って思えるほど症状はでなかった。
アドレナリン効果というものは思ってる以上に人間の体に作用するものらしい。
何事もなく順調に走り、東名音羽蒲郡ICを降り国道沿いのスーパーで買出しを済ませたのだがここからが厄介だった。
国道からの道順で曲がるポイントを間違え完全に道に迷ってしまったのだよ。
落ち葉が散乱している細いクネクネ道を散々、走った末になんとか会場である桑名キャンプ場に辿り着いたのだがここでも問題が……。
すでに現地入りしていた香川のホリ氏が焼酎の一気飲みを巡回させる与論献奉なる儀式を2巡させたとかで当の本人はもちろんの事、全体がグデグデの状態。
主催の乾ちゃんは誰かを殴り飛ばしてるし。酔い潰れたホリ氏を寝床まで運んだ後、オレ達は無事の到着を祝してビールをぶつけ合った。
それでもさすがに丸一日激しく走った疲れもあってかその呑みはまったりしたものとなった。
翌朝、多少咳き込み幾分早い起床となったが睡眠はとれた。
バイクで走ると言う事が人間の体にどういう影響を及ぼすのかはわからないがこの旅の過程においてオレの体調は急速に回復に向かっている。
軽い朝食を済ませ主催の乾ちゃんをはじめとする参加者の面々に別れの挨拶をした後、オレ達は会場をあとにした。
国道沿いのコンビニで反対方向へ走るテンドウ氏と別れ星野氏、ホリ氏、須藤君、そしてオレの4名は西へ向かった。そしてこの帰り道も当然のように爆走劇となった。
先頭のホリ氏は昨夜の大騒ぎでメガネの両眼ともレンズをなくし、よく見えないなどといいながらも右へ左へと車の流れをすり抜けていく。
途中からはオレが先頭に出て一定のペースで引っ張った。当然、車の後ろに並んで走るような事はしない。ペースを落とす事無く前へ前へと。遅れをとる者はいない。
新名神をそんな感じで調子こいて走っていたときオレの荷物から何かが落ちた。行きの道中で散々世話になった高額なブーツカバーである。
あぁもったいない。まぁこれも旅の思い出だ。それにしても……もったいない。
名神に合流した所にある草津PAで大阪からフェリーで九州入りすると言う須藤君と別れる事に。当初、彼は自走で九州入りする予定だったのだがここまでの走りでタイヤが結構、ヤバイ事になったための予定変更だ。
オレを含む中四国組はさらに西へ、相も変らぬペースでバイクを走らせた。
この帰りの道中は色々あったがただただ楽しかった。波長の会う者同士ならばツルんで走るのも悪くない。おそらく今回の面子で一緒に走ることなど今後、そうそうありはしないだろう。こうしてまた忘れる事のできない思い出がオレの中に刻まれていった。
PS・・・帰宅して2日後、オレの病は完治しましたとさ。
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