来年初めの通常国会で国土交通省(国交省)が提出を目指して検討を重ねている法案がある。
その名も「交通基本法」。
昨年の11月から今年の6月までに有識者や関連団体などを招いて13回の検討会が開かれている。
それらを踏まえて国交省は今年3月に「交通基本法の制定と関連施策の充実に向けて――中間整理――」を出し、6月には「同・基本的な考え方(案)」をまとめている。
交通基本法自体は、元々は平成18年に野党時代の民主党と社民党が、今回とほぼ同じ内容で国会へ提出した経緯がある。
この時は財政上の問題が指摘され、さらに平成21年に衆議院が解散されたため廃案となっている。
それでは、今回提出されようとしている「交通基本法」の内容とはどのようなものだろうか。
詳細をここで述べるスペースはないが、大きな目的として2点挙げられているのは「クルマを運転できない高齢者や体の不自由な方々などにも、生活する上で最低限必要な移動が不便な地域が生じている。
それを公共交通機関への支援によって充実させる」と「公共交通機関を充実させることで地球環境問題/地球温暖化対策を位置づける」だ。
つまり国交省が考えている交通基本法は“社会福祉”的な色合いが強い法なのだ。
新聞報道によれば、これを先取りする形で国交省は平成23年度予算の概算要求で地域の公共交通支援として今年度の倍の約400億円を考えているという。
この点については、新たな“予算のバラまき”にならないかという指摘もされている。
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