ふつーのおとーさんのバイクライフ シーズン2

「10 Years After」

  先日、叔母が再婚した。めでたいことである。
 本人が63歳で相手男性が64歳だとか。いやいや実にめでたい!と言う他ない。
 知り合ってわずか6ヶ月でのゴールインなんですと。叔母は20年前に1回リコンして以来、「二度とケッコンなんてしない」と宣言していたのにずいぶんの変わり様である。
 なんでまた突然に?と聞くと、「私達には時間がない!」のだそーな。
「これからいかに二人が恋を育んでも美味しい時間はいいとこ15年しかない」
「じゃあいつケッコンするの?」
「今でしょ!」 となったんだって。
 まあ言いたいことは良く分かるけど…

 ひるがえってバイクの話である。
 先日次の10年を共に過ごすバイクとして、BMWのフラットツインを購入した。またまた10年近く前の中古車である。
 新車を買おうにも現行車種がないのだから仕方がない。という言い方は半分位ウソで、やっぱ中古車は安くてオトク感満載である。

 購入したのはR1100Sという、当時としては走りに振ったスポーティな(BMWとしてはね)バイクで、僕は90年代後半の発表以来実は密かに「おお、これはかっけー」と思い続けていたのでした。
 まあフラットツインで走りメインというコンセプト自体はやはり(特に我が日本では)無理があるっちゅーか余り受入れられなかったみたいで、後継でR1200Sってのが出たものの、それを最後に無くなっちゃったんだけどね。


 で、僕の場合R1100Sのデザインがずっとお気に入りだったので、「いつかチャンスがあったら」とずっと狙っていたのでした。
 今やBMWのフラットツインと言えばGSだ~みたいになってしまっていますが(僕の気のせいだったらゴメン)、その昔はオンロードレースでも成績を残した由緒あるエンジン形式なんですよ~(詳しい事は汚れた英雄参照のこと)。
 それでもまあ、R1100Sって生産中止になってから10年近く経つし、なんか部品代高そうだし、これまでずっとメンドウ見てくれてたバイクショップで相手してもらえなくなるかもしれないし、自分でメンテしたり車検通したりするの手強そうだし、と結構逡巡していたのだけど、それ以前にこのバイク、日本では不人気車ゆえめったに中古でも見つからないのだけれど、出会ってしまったのですよ、もう君しか見えない! という1台に。某ショップにて。
 すごくきれい(外観は)。お気に入りのタイガーカラー(シルバーに黄色のシマシマ)。グリップヒーターまで付いてるヘンな豪華さ。そんな理由だけでもうトリコ。元々好きなバイクだったゆえ現物があるともうメロメロな訳です。
 その結果、ヤマハのSR500、MT-01、ドカのモンスター、KTMのデューク690などなど並み居る強豪? を押しのけて一気に購入へと突っ走ってしまいました。

 手に入れてまず感じたのは「なんちゅーウスラでかいバイクなんだ?」というコトである。
 長くて幅があって重い、足つきも良くないとゆー正にゲルマン民族のためのバイクである。
 ハーレーみたいに長くて重くても足つきべったりなら安心なんだけど。
 僕の場合、単気筒のSRX-6からの乗換えだったので余計にでかさと重さを感じたみたいだけど。
 世の中のBMW乗り、特にRシリーズやKシリーズに乗っている人達って、みんなこのでかさや重さによく耐えてるよな~と感心する。後で聞いたらR1100Sの日本仕様は最初からローシートが付いているらしいんだけど、それでも背が高いって文句を言う僕の足ってどんだけ短いのってハナシですね。

 とゆーコトで、これまで軽くて小さくてパワーのないバイクばかり好んで乗り継いできた僕は突然方向転換をしてしまい、しかも次の10年をコイツに乗り続けるぞ、と強い決意まで持つことになってしまった(という約束でオクサマを説得した)。

 10年といったら、言うまでもなくとても長い時間だ。幼稚園児が高校生になっている。
 30年以上も過ごした僕のバイク生活でも10年なんて長い期間乗り続けたバイクは1台もない(短いのは3ヶ月で断念したことがあるけど)。
 なんでこの先10年乗る決意なのかというとなんか「代りの利かない相棒」みたいなずっと一緒のバイクと過ごせればシアワセだよなー、なんて思い始めちゃったからです。
 10年乗り続けたら、そのバイクは僕の大切な友達になってくれるかな? なんてね。
 10年又は10万キロ、途方もなく長い年月だろうけど、これからのそんな10年間をずっと一緒に走り続けることが出来たら本当にシアワセだろうと思う。

 
 人生は20年ずつ区切って春夏秋冬に例える事ができるという。
 20歳位迄が育ち行く春で40歳位迄が真夏、そこから60歳迄が実りの秋でその後静かな冬を迎える、ってやつですね。
 ま、最近は80歳でエベレスト登っちゃう人もいるので、みんながみんなそうという訳でもないんだろうけど、僕のバイク生活にとっての実りの秋もあと10年かあ、なんて考えると、少しお金を出しても本当に欲しくて程度が良くて走って楽しいバイクに長く乗って行こうと考えるのも悪くないかな、と(ココロの奥では「オレも軟弱になったもんだ」と思わないでもない)。

 昔、「間違いだらけのクルマ選び」の中で徳大寺さんがメルセデスベンツのCクラスを評して「買ってしまえば向こう10年間クルマの事でアタマを悩ます必要から解放される。」と解説していた。
すげえクルマだな、と思った記憶がある。
 僕にとってのR1100Sもそんな風に思えたらいいな、と購入したのだけど、さてさてどういうことになりますやら。

 ちなみに現在、R1100S君はすでに立ちゴケでサイドカウル交換バイク屋さん預かり中であります(泣)。リソウとゲンジツってずいぶん違うのね。

 話代わって6月14日発売のMr.BikeBGでヤマハMT-01のミーティングの様子が載ってましたけど、やっぱいいですねMT-01。う~んめっちゃんこかっこいい。いいなああれ(決してMT-01にしなかったのを後悔している訳ではない)。

 


タカヤスチハル
タカヤスチハル
「もう30年以上バイクに乗ってます」と威張れるくらいず~っと乗り続けているのにちっともうまくならないへたれライダー。ふつーのお父さんは逆境にも負けず、ささやかなバイク生活を営んでいます、が…… 

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