Hi-Compression Column

アッキーがキタ

■年末年始スペシャル!
「ネコ型ロボットの犯罪記録」

(2011.12.26更新)

さて、今回も今までの流れを激しく無視し(何度目だ?)年末年始スペシャルとして、ライターとして10数年オレが温めていた企画を、書かせていただこう。

あれは世間で「サザエさん家の謎」という本をきっかけとして、既存の子供向け作品を様々な視野で事実検証する本がブームとなっていた頃。オレははっとひらめき、一つの企画を立ち上げると一般誌や出版社の知り合い数名にあたってみるも「いや~、これはさすがにヤバすぎて出せない」といわれ、やむなくオクラ入りとなったネタがあった。

して、その取り上げるべき作品とは!

日本国民なら老若男女誰もが知っている、あの未来から来た青いネコ型ロボット(実名は敢えて伏せる。以後「ドラネコくん」と表記)が、意気地も知能もないめがね君(これも実名を伏せる)を、腹ん中に仕込んだポケットから様々なアイテムを出して助けるという、家族でご覧になれる日本アニメと漫画の代表作と言えるものだ。

しかしある視点からこの作品を見ると、ネコドラくんとめがね君は恐ろしいほどに法律違反をしていることに気がつくのであり、その悪行三昧をさらしてしまおうというわけなので、原作が大好きで夢があって「ボクんちにもいつかあんなロボットが来るといいな」なんて思っている方々は、これから先を読まれない方が賢明であろう。

では早速、作品中でかなりの露出度を誇るドラネコくんのアイテムからいくが、まずは「どこへでも行けるドア」(仮称)。

これは読んで字のごとし、行きたい先を言ってドアを開ければ、その先には目的地がすぐ現れるといった素晴らしいシステムだ。

このドアを使ってネコドラくんとめがね君は作品中、諸外国へあちこち行きまくるのだが、これは完全に『出入国管理法』に抵触する。彼らはパスポートもビザもなく、出国審査、入国審査さえすりぬけて他国へ潜入しているのだ!

密入国に関しては国によってそれぞれ法律が異なるが見つかった場合はほぼ強制送還だろう。

また日本国外へ出るためにはまず出国審査を本来受けなければならないが、彼らはそれすらスルーしているため、これは「出入国管理及び難民認定法71条」に抵触し、捕まれば1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金が課せられるのだ!

しかし、である。もしこのアイテムが、日本への密入国を仕切る中国マフィアの蛇頭、そして今最もホットな国である北○鮮などの手に渡れば、どのような恐ろしい事態になることか。

主人公たちはのんびりとあちこち行きまくっているが、その便利さの裏に隠された恐ろしさを良く考えて欲しいものである。

して次は、非常にグレーゾーンな存在である「竹とんぼコプター」(仮称)である。

ネコドラくんとめがね君が小型のプロペラ付きアイテムを頭に付けると、いとも簡単にどこまでも大空を飛んでいけるアレだ。

これは、航空法違反ではないのか!?

話が小難しくなるのでおおざっぱに行くが、まずこのアイテムが「航空機」となるのかというと、識者によって意見が分かれる。

動力を有し、人を運べるのだから当然航空機扱いとなるという意見もあるが、「航空法第11条但書」によれば、「一人乗りの場合には機体の重量が180kgよりも軽く、プロペラや車輪や座席が備わったものを超軽量動力機という」とのことであり、恐らく竹とんぼコプターはこれに当てはまるため(要はハンググライダーにエンジンを搭載したモノのように)無免許での飛行が可能となるという説もある。

しかし! だ。実は飛行機以外にも空を飛べるモノはあるわけで、それがヘリコプター。プロペラ水平回転式という点でも、竹とんぼコプターはヘリコプターに属するのではないか。航空法耐空性審査要領第1部「定義」によれば、ヘリコプターは「重要な揚力を1個以上の回転翼から得る回転翼航空機の1つである」とされており、またその重量最下限もない。



右上へ

つまり竹とんぼコプターはヘリコプターに属すると思われ、その飛行に関しては免許はもちろん、国土交通省への機体の登録が必要。かつ、その離発着は基本的に指定された空港かヘリポートのみであり、無免許、無審査アイテム、そして勝手に街中で離着陸する彼らの暴挙はもはや許し難い事実なのだ。

そして! さらに恐ろしいアイテムが作品中には存在する!!

ある日、めがね君はこんなことを言い出す。「寝てるなんてもったいない。寝ずにいればもっと遊べるのに!」と。これに対しドラネコくんはある薬をポケットから取り出し“ジャジャーン”と叫んだ。

「寝なくても元気なクスリ~」

これは、覚醒剤ではないのか!?

現行法では覚醒剤を「アンフェタミンもしくはメタンフェタミンを原料とした」ものとしており、当然禁止薬物。ドラネコくんの未来でこれらの薬物が再び認可されているとは考えづらく、新たな開発によって寝ずとも元気でいられる薬が作られたのだろうが、それが果たして全く健康に害はないと言い切れるのか。今の覚醒剤でさえ、戦後まもなくまでは日本でも普通に薬局で売っていた合法モノだったのだから(当時の商品名はヒロポン)。 

仮に構成成分が現行法の範囲で許されたとしても、濫用すればどうなるか、またひとたびネコドラくんがシンジケートと手を組めば、数百億の売り上げを手にすることは容易だ。

だが! まだまだある!!!

ある日、めがね君は金持ちのスネかじり君が持っているラジコンが欲しくて欲しくて仕方なくなり、ドラネコくんにせがむ。すると彼はおもむろにポケットからひとつの鏡を取り出して言った。

「このヒミツの鏡にモノを映すと、同じのが中から出てくるよ」

喜びいさんでスネかじり君からラジコンを借り、鏡に映すめがね君。そして鏡の中に手を突っ込むと、なんと同じラジコンが出てきたではないか!!

しかしこれで満足する彼ではない。他からも色々と借りてきては鏡でコピーするのだが、問題は最後。なんと、千円札を鏡に映し、中から取りだしたのだ。

だが、鏡という特性上、コピーされた千円札は印刷が鏡写しに反転したもので、めがね君は「これじゃあ使えないや」と言ってポイと投げ出す。さすがは低知脳の小学生、バカである。その反転したコピー紙幣をまた鏡に映せば、まともな千円札がいくらでも出てくるはずだ。

紙幣偽造・・・

刑法第16章148条通貨偽造罪に当たるこの行為が実現し、捕まれば無期または3年以上の懲役が科せられる。もし大量生産したら、国によっては国家反逆罪という重罪だ。未成年の小学生といえどもただではすむまい。

いやまあ、他にもネタは沢山あるのだが誌面の都合もあるのでこれまで。

バカなことばかり考えてると思われがちなオレですが、このご時世に、かの国民的ロボットアニメ『鉄腕ア○ム』を再放送したらどーなんだろ。腹に原子炉仕込んでるくせに都市部で跳んだりはねたり、あまつさえは敵にぶっ飛ばされてバラバラになりかけたり。「いっそ全面リニューアルして『鉄腕ソーラー』とかにしちゃえばいいのに」とか考えている今日この頃です。

では、東北のみんなも他のみんなも全ての人が笑って正月を迎えられますように!


そんで続けて告知。微々たるものの被災地支援を続けさせていただいてるオレから、読者様へのお願い。被災地へ旬の野菜を届けようと動いている「プロジェクト・ビタミン・東北」に、ちょっとでいいから協力してくれると嬉しいです。一人500円位でも、みんなが協力すれば大きな額。一度、ホームページを見てください。まだ震災被害は収まってないんだよ。テレビは隠してるけどさ。

●Project Vitamin Tohoku
http://project-vitamin-tohoku.blogspot.com/

アッキー加藤
アッキー加藤
アメリカン、チョッパーなどそっち方面が主戦場のフリーライター。愛車の1台は写真の750ニンジャというマニアックな一面も合わせ持ち、アメリカン以外のジャンルもほほいのほい。見かけはご覧のようにとっつきにくそうが、礼節をわきまえつつ、締切も絶対に守り、かつ大胆に切り込んでいく真摯な取材姿勢で業界内外で信頼が篤い。ここまで書くとかなりウソくさいが、締切うんぬん以外はウソでもない。

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