第5回 電波の通信に空中線が混沌なケータイ
(2010.11.8更新)
さて、突然ですが、いつぞや紹介したアンドロイド携帯も百花繚乱な昨今の携帯電話は、誰でもご存知のとおり、無線で通信をします。TVやラジオも無線です。無線LANも当然無線です。
ということで、無線を沢山使っていそうな携帯電話はアンテナがいっぱい入っているに違いなく、とりあえず、無線な機能がいくつあるのかを数えてみました。
とまあ、無線通信の総合百貨店状態になっているんですね。しかも、(8)の赤外線は無線、線が無いには無いのですが、どっちかというと光通信。 これ以外はみんな送信アンテナと受信アンテナにより通信しています。
さて、ここからが混沌、ちょっとお付き合いください。
(1)音声通信は、日本では大雑把に言うと800MHz〜2GHz帯(通信会社により異なる)が使われます。
アンテナは800MHz用、2GHz用の二つが必要。送信と受信は共用しています。
昔の携帯電話はホイップアンテナが飛び出していたのですが、今は内蔵されちゃってます。しかも2本。
何で複数かというと、感度確保のため。極端な話、何でもいいから電波を受けるだけなら、長〜い針金を出しておけば、そこらじゅうを飛び交う電波がなんとなく拾えてしまうのですが、そこから、必要なものだけを抜き出すには、技が必要です。
そもそも要らないものは、最初から受けない方が良く、そのために、電波の周波数(波長)に合ったアンテナが必要という訳です。
「受信したい周波数に合わせた長さの針金を用意する」イメージです。
電波の波長(m)は、300÷周波数(MHz)という式で求められちゃいます。
小学生でも出来ちゃうなんて、簡単ですねぇ。
ためしに、2GHzの場合、15cmとなりますが、そんな長いアンテナは、入れるのが大変なので、1/2や1/4や1/8なんかにする裏技で押し込んでいるらしいのですが詳細は秘密です。ふふふ。
(2)データ通信も、基本的に上記音声通信用のものが使えるのですが、高速化のために、アンテナをもう一式設けて通信を分散させています。だから、さらに2本のアンテナを内蔵しています。
(3)ワンセグと(4)FMラジオと(5)GPSは、降って来る電波を受信するだけなので単純です。
- 電気先生
ワンセグは、TVで言うUHF帯となりおよそ400〜700MHz用のアンテナです。機種によっては、受信用のアンテナは外に飛び出しているので見たことあると思います。
FMラジオはVHF帯となりおよそ70〜90MHz用のアンテナです。イヤホンの線をそのまま使う、という場合が多いですね。
(10)FMトランスミッターはFMラジオと同じ周波数を、今度は送る側の機能になります。アンテナは内蔵の他、イヤホンの線やワンセグのアンテナを借りていたり、いろいろある様です。
GPSは、米国のナブスター (NAVSTAR) 衛星による宇宙からの多対一通信です。周波数は1.5GHzあたりとなります。
宇宙から受信してしまうなんて、どんな強力な電波だ?とか思いませんか?
次に、(6)無線LAN。
これは電子レンジと同じ2.4GHzあたり。最も、電子レンジはヤキを入れるのが目的なので、とってもパワフルな電波です。ま、厳重に隔離されていて、電波に触れる機会が無いんですけどね。
次の(7)Felicaも立派な無線通信です。
周波数はとっても低く13MHzあたりです。
これに限っては、受ける側は電源が無くても動くという、とってもECOな方式となっています。ただ、周波数が低いので、アンテナは少々長くなります。
あなたの携帯電話の中にも、きっと長い電線が走り回っていることでしょう。
次は結構ポピュラーな(8)赤外線ですが、人の目には見えない光の通信で、アンテナが無いので今回はパス。
最後の(9)Bluetoothですが、これも2.4GHzあたりなので無線LANや電子レンジと被ります。
だからお互い近くで使わない方が身のため、通信のためです。
無線LANやBluetoothは似た周波数ですが、しっかりと別々のアンテナが内蔵されているのですよ。これが。
ここまでで約10本のアンテナが登場したわけですが、それぞれ別の場所に、干渉しないよう、接触しないよう、折って、畳んで、丸めて、潰して、押し込められているなんて、結構すごいことだと思うんですけどね。
ということで、年に一度くらいは、電波の通信に空中線が混沌なケータイに思いを馳せてみ・ま・せ・ん・かっ......なんて。
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