今月の一言
“Fishy tail”
(フィッシー テール)
(2011年10月14日更新)
北関東出身の筆者は、実家の畑で取れた野菜をふんだんに使った天婦羅をシコタマ食べた翌日ノドが強烈に痛くて「まさかね」と思いながらも若干ビビってます。
どの数値や報道を信じたらいいのかわからない。どれも怪しい。そんな怪しい話を「Fishy tail」と言うんです。原発? お台場に作れば反対しないよ俺は。
季節の変わり目だからか風邪を引いた模様。普段はバイクで移動するのに、何を思ったか電車で帰郷したのがいけなかったと思う。
外は寒いから温かい格好をするけど、電車に乗ると暑くてしょうがないのに満員でうまいこと服を脱げない。都心を抜けて北関東方面の電車に乗り換えるまでひたすら汗だくで、知らない人とベッタリより沿って突っ立っているわけだ。
電車とはなんと不衛生なものか! そもそも人間は各自の制空権があるでしょう。普通の生活の中で、だいたい40~50センチ以内に他人が入り込んでくるとなんだか落ち着かなくてちょっと距離を置くのが普通だと思う。適度な距離を持っているのが普通なのに、電車というのはそれが全く無視。ギュウギュウに詰め込まれるあの異常な状態は、僕は全く苦手だ。
まぁ、地方の列車はのどかでなかなかイイということも書き加えておかないと、電車好きの編集さんに「却下」されそうなのでここに記しておきます。
よってノドが強烈に痛いのはこの異常な状況である電車の中で誰かに風邪をうつされたものであって、決して実家の野菜に降り注いでいるとされる放射能のせいではない(と思う)(思いたい)。
こんなことになるんだったら近所の足として活躍してる原付二種で帰るんだった。
高速道路に乗れるバイクをみんな売却してしまったため電車で帰ったようなものだけど、駅までのアクセス時間、乗り継ぎ時間、向こうの駅から実家までの時間を考えると、トータルで考えたらG2でも似たようなタイムで帰郷できると思う。せっかくのツーリングシーズンなのにもったいないことをした。
バイクはどうしても趣味のものを実用のものを分けてしまいがちだけれど、趣味性が高くてかつ実用にも耐えられるマシンに乗りたい。
今とっても注目してるのがカワサキの650ccパラツイン。ER6nとfが新型になったとトップページで書いてあったし、ベルシスはこの前新型になり済みだけれど、あれこそ趣味と実益をうまく兼ね備えているマシンだと思う。欲しい。
ん? あ、Fishy tailの話ね。
-
- 1928年 アリエルの500cc 魚を連想させるけれど、デザイン的要素が高い頃のフィッシュテール。
今ではアメリカンタイプのバイクのマフラーにカスタムパーツとして設定されていることの多い「フィッシュテールマフラー」。諸説ありますがこれが一つの語源だとされるため紹介しましょう。
※ ※ ※
その昔ロンドン環状線をトライアンフボンネビルとかBSAゴールディなどでグルグルとレースしていた輩は「タナップボーイズ」と呼ばれ、走り屋×暴走族的な存在だったにもかかわらず世界を席巻している英車を限界で走らせるカッコよさが人をひきつけていた。 「タナップ」とは「タン(もしくはトン)」「アップ」をくっつけた造語で、日本では重量の単位として知られる1トン、よりも上で走るボーイズを指していた。トンとは重量の1トンではなくここでは時速100マイルを現しており、100マイルすなわち160キロ以上もの超高速(当時)をものともせずに公道レースに明け暮れる若者を尊敬と羨望、狂気と嫌悪など色々な感情をこめて「タナップボーイズ」と呼んでいたのだ。
-
- 1929年 デュネルトというメーカーの250cc 初期のフィッシュテールは当時は4ストでもオイル燃焼が多かったため、マフラーから出るオイルを飛び散らさずにポタポタと落とす意図もあったようだ。
しかし当時、100マイル以上ものスピードが出せるマシンは限られており、それらマシンを所有できるのは一部富裕層の坊ちゃん、もしくは有名チューナーが多く、それにより「タナップボーイ」となるのは難しく、だからこそあがめられたりしたのだろう。
-
- 1929年 BSAスローパー。
性能競争が激化していく一方で、レプリカブームにゼファーが投入された時にそれに飛びついた人たちのように、このタナップボーイズが集うエースカフェにはレトロ志向の若者も出現した。現在ではクルーザーモデルのイメージであるフィッシュテールマフラーだが、そのルーツは英車にあり、スポーツモデルにも装着されていることも多かった。そこでレトロ志向の若者はこの時代にはすでに過去のものになりつつあったフィッシュテールマフラーを愛車に取り付け、「俺らは性能競争には加わらない」ともっぱらカフェで格好をつけ、ダベる方に専念したのだ。
-
- 1932年 モネ・ゴーヨン なんと美しいフィッシュテール! フランスの会社だから英車ではないですが。
現在でもそうだが、ダベることばかりに没頭するライダーは、実際はあまり走らない。そのわりにはなぜかとんでもない武勇伝をたくさん持っていることが多いのが不思議だ。当時もしかりであり、これらレトロ志向の若者連中は語り屋が多かったようだ。
-
- 1936年 有名なアリエルスクエアフォアは1000ccだけど、最初は500ccだった。これはモデルチェンジ後の600cc かなり魚っぽいマフラー。
「Tail」とは直訳すれば「尻尾」となるのだが、イギリス英語では「ちょっとした物語(小話)」という意味もある。本物のタナップボーイズはこれら語り屋連中に関わることはなかったのだが、ジワリとその数が増えるにつれその語りっぷりが目障りになり彼らを「口ばっかりで実際には走らないヤツラ」という意味を込めて「Fishy tail」と呼んだ。tailは彼らの魚の尻尾を模したフィッシュテールマフラーと「小話」をひっかけているのだが、ではフィッシー(魚のような)という意味がなぜ「怪しい」もしくは「うそ臭い」「信用できない」という意味として捉えられたのだろう。これはきっと、島国でありながら海で捕らえた魚を運河で内陸に運んでいたイギリスでは、魚は常に腐りかけていて臭い、という世間的認識があったからだろう。
「どうもあいつの話はクサイ」という意味で「Fishy tail」が浸透し、以後バイクに関係なく怪しい話、明らかに事実と違う話、妙に膨らませてある話を指してこう使うようになったのである。
※ ※ ※
いかがですか? 諸説のうちの一つでしかありませんが、有力な一つです。え? この解説がFishy tailだって? ほほう、キミはClever old stickだね!
- ビル エドワーズ