- 中村圭志
(2011.3.23更新)
撮影─徳永 茂 ※写真はイメージで、該当クラスでない場合もあります。
レースをおもしろくするオープントーナメント方式
JD-STERが団体を立ち上げる時、ドラッグレースへの入門のしやすさや楽しみ方、今すでにドラッグやっている方はトーナメント式の奥の深さなんかをよりわかりやすく楽しんでもらえるような趣旨の考えで立ち上げたんだ。
だから今までのドラッグレースとは違う形での内容にしたんだ。
まず走行本数を増やすとともにトーナメント式を採用した。
なんでトーナメントにこだわるかって言うと、タイムトライアルで順位を決めてしまうと、そのカテゴリーのレギュレーション内であったら、いかにお金を掛けたかで結構順位が上がってしまうんだ。
そんなんじゃお金持ちが常にトロフィーを持っていってしまうよね。
そーじゃなく腕で順位を決めた方がレースらしいと思って勝ち抜き戦を採用したんだ。
JDでまず柱となるクラスがオープントーナメントクラス(以下OT)。
ほとんどのエントラントがこのクラスにエントリーするんだ。
基準は10秒以下のクラスでバイクの制限は基本的に無し、マシンはハヤブサからRZまで何でもOK。
午前中ゼッケン順に3本予選を走ります。
そのベストタイムを速い方から並べ、予選1位~8位までがAブロック、9位~16位までがBブロックというように8台づつブロック分けをして、午後はその8台がトーナメント方式で戦います。
各ブロックには様々なマシンが入ってきますが、基本的にタイムは似た物同士なので全力で走ってもそうそう差は出ないはず。
何が勝敗を左右するかっていうとやはりリアクションタイムになる。
ドラッグレースの場合クリスマスツリーっていう信号がスタートラインにあるんだ。
それに従って両者スタートなんだけど、いかにその信号に早く反応すのかなんだよね。
いくら速いタイムを出したからってリアクションが遅いとゴール地点では先にゴール出来ない。
つまり同じ位の腕を持ったライバルと、ガチで勝負する簡単なレースなんだ。
なかには予選で手を抜いて、本来の実力より下のブロックに入り込んで午後のトーナメントが始まるとめちゃめちゃ速く走っちゃったりするライダーなんかもいたりする。
つまり三味線だよね。これじゃ平等化が図れないっていう事から0.3秒ルールなるものを取り入れた。
このルールは午前にブロック分けした中で、予選タイムが一番速かった人のタイムをトーナメント中に0.3秒上回った時点で失格になるというプログラムを作ったんだ。
つまり予選でもトーナメント中でも全開の力で走らなきゃ、勝てないし、失格にもなっちゃうルール。
だから速くないマシンで出場したからって格差のある人とは走らないから誰でも優勝できるチャンスがあるのがJD方式なんだ。
ミニバイクからリッターマシンまで。多彩なクラスがあるんだ。
クラス分けを紹介しよう。
まずは一番小さい「ミニクラス」。これは124cc以下のクラスで主にモンキーやエイプなどの4ストが多い。でも、実力はハンパじゃなく速い。
タイム的に言うと速いライダーで13秒台!!
このタイムって慣れない人が1000ccに乗っても中々でないタイム。もしモンキーとGSX-Rが一緒に走って、モンキーが勝っちゃうなんて事もあるんだよね。タイム的に言うと。
次に「スクータークラス」。これはクラス内でも幾つかに分かれていて、124ccまでのノーマルと改造クラス。125cc~250ccまでのノーマルと改造クラス。251cc以上のノーマルと改造クラス。あとはPMクラスって言って何でも有りのクラス。
ノーマルと改造って書いたけどノーマルと言ってもフルノーマルではなく駆動系やマフラー、ハイギヤまではOK。
改造(モディファイ)とは吸気系や排気量変更。NOSやターボチャーヂャーやスーパーチャーヂャー付きはPMクラスで走る。
このスクータークラスは400mではなく、半分の200mで競技するので、皮ツナギではなく長袖、長ズボンでOKなんだ。
気軽に参加できるので、今後女性ライダーの入門にもいいよね。
最近JDで人気を集めているクラスが3つ有って、本場アメリカでも大人気の通称「シュートアウト」や「スーパーストリート」って呼ばれるクラス。
JDではタイムによって3つに分けている。
マシンは最近良く街中でも見かけるロー&ロングのスーパースポーツ車。 隼やZZR1400、ZX12R、GSXR-1000等が多く、見た目にもハンパじゃなく低くして、長くしている。
エンジンも強烈にチューンしてあり、当たり前の様にNOSや過給システムが付いている。中にはフルブーストかけると400PSオーバー出しちゃうマシンもぞろぞろ来ている。
ところで、何であんなに長くそして低くするのかって言うと、どーしてもパワーが有るからウイリーしたりホイールスピンしたりする。
だからフロントが浮きにくくするようにホイールベースを長くして、トラクションかける為に低くするんだ。長くすると直進安定性も良くなるしね。
レギュレーションで、ウイリーバーとドラッグスリックタイヤの使用は禁止。搭載セルモーターでエンジン始動出来なくちゃいけないし、サスペンションももちろん義務付けている。
つまり街乗りできる車両がほとんどってこと。普段はツーリングにも行っちゃうし時期が来ればJDにも出ちゃうんだ。
それでも速いライダーは、現在8秒中盤位まで出しているよ。
一昔前までは8秒台出すマシンって、PBマシンみたいに専用シャシーに太いドラッグタイヤでウイリーバー付き見たいのが定番だったけど随分変わったというか、進化したね。
「SBクラス」というのは市販フレームとウイリーバーを使用すればあとは何でも有りのクラス。
タイムは大体みんな9秒前半から中盤。マシンはX-4やGSXR-1100やZX12R等様々で、ちょっと古いマシンでもドラッグタイヤとウイリーバーでマシンの性能を最大限引き出して凄いタイムをたたき出しちゃう。
「KVSクラス」は今かなり盛り上がっているクラス。「カワサキビンテージモータースポーツ」の略で、カワサキ2バルブ空冷650cc以上専用クラス。主にZ1やZ2、KZシリーズが対象だけれどもZ650ザッパーやゼファー750もOK。
このクラスは速いライダーで10秒中盤から12秒台。ウイリーバーやドラッグタイヤは使用禁止。
筑波サーキットで開催しているTOTのモンスタークラスに出ているライダーがそのまま出て来ているって感じかな。
ライダー達がレース慣れしている方が多いから見ていても凄く楽しいし、スタートの駆け引きがひしひし伝わってくるんだ。
今後もどんどん盛り上げて行きたいクラスかな。
最後に「PBクラス」と「SB-EXクラス」。
このクラスはローリングシャシー(専用設計)と言ってクロモリ材を使ったフレームでリヤはリジッド機構。
15インチドラッグスリックタイヤって言ってやたら太いリヤタイヤに細すぎるフロントタイヤ。
一体成型の外装カウルが付いていて大体が空冷エンジン。
スズキの刀系やカワサキのZ系で、過給システムを使わずNAで350PSも出してしまう恐ろしいモンスターマシンのクラスなんだ。
加速Gと言って重力が最大5Gにもなり1秒で100km/h位まで加速し、タイムも速いライダーで7秒中盤。本場アメリカじゃ6秒台を出す選手もたくさんいる。
スペースシャトルが発射時3Gだからどれほどのものか想像が付くよね。なんとゴール地点のスピードは300km/h位というから見ていても圧巻。
2クラスになっているのはライセンスの問題から。
以上がJD-STERのクラス分け。今後は4スト250cc以下のクラス(ninja250やVTR250 CBR250)や初めて参加する方向けのビギナークラス。 今現在出場している方向けのテスト&チューンクラス等、参加側に立った考えのクラスを増やして行き中身の濃いレース団体になれる様にがんばって行きます。
スタート地点のスタートシグナルを、通称クリスマスツリーと呼ぶ。
●プレステージライト(黄)
スターティングエリア入口には、15cm間隔で2本の光電管がセットされています。一本目を通過することによりこのライトが点灯します。
●ステージライト(黄)
スタートラインの2本目の光電管を通過した時に点灯。上下のライトがレフトレーン、ライトレーン共に点灯するとスタート準備が完了。
●スリーアンバースターティングシステム(黄)
プレステージ、ステージの両ライト点灯によりスターティング開始です。
●グリーンライト(緑)スタートシグナル
このグリーンライトが点灯することにより競技開始です。車両が動き始めてからタイム計測が始まります。
●レッドライト(赤)フライングシグナル
アンバーランプ点灯後0.4秒経過前に車両が動いた場合に、このレッドライトが点灯。この場合はフライングスタート(反則スタート)を行ったとしタイムは無効となります。ステージング完了後に車両が後退して、ステージランプが消灯した場合もレッドライトの対象となります。
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