Hi-Compression Column

おやびん道

それぞれの道には、それぞれの風土、気候、環境などを積み重ねた表情がある。それはまた人生にも似ている。道は人生、道の数だけ物語がある。野口おやびんが走って来た幾多の道を、想い出話と共に語ろうか


第15回・国道18号線

(2011年9月29日更新)



R18
国道18号線=R18は群馬県高崎市と新潟県上越市を結ぶ一般国道で、延長約200km。両県および長野県内の地方都市をつないでいてほぼ山間を縫う。群馬県・横川〜長野県・軽井沢の間にはかつて走り屋に愛され、名を馳せた碓氷峠がある(大小184のカーブ)。●撮影-ピンキー高橋

前回、馴染み深い国道としてR17について書いたが、続き番号である国道18号=R18も負けず劣らず俺には縁の深い道だ。

高崎から小諸手前の佐久まではかつての中山道に沿っているが、俺が10代の頃から幾度となく利用してきたのもその区間だ。

初めて走ったのは原付免許を取ったときだった。家のカブで隣り街の安中市〜松井田町あたりのR18を走った。

目的が何だったか忘れた。

釜めしが有名で、最近では体験型鉄道テーマパークの『碓氷峠鉄道文化むら』('99年開園)でも知られる横川から、東京圏における夏場の避暑地/別荘地として名高い軽井沢までの区間、つまり碓氷峠を走ったのは自動二輪免許を取得した前後だった。

横川鉄道村
いにしえの国鉄型車両が展示される横川鉄道村。講習を受ければ実物の機関車の運転も出来るし温泉施設へ向け旧線を登るトロッコ列車も人気。

バイクに乗り始めたふたりの友人と軽井沢へツーリングに行こうと決まり、道幅が広くて上りは2車線区間が多い碓氷バイパスが出来た直後='72年頃だったと思うが、当然、タダの旧道を往路も復路も使った。

その頃はまだ特にコーナリングを楽しもうとか、コーナーを攻める、という感覚は強くなかった気がするが、184もの変化に富んだカーブが続く碓氷峠は上りも下りも面白かった。

'73年の春、2スト90ccツインのHS1からDOHC8バルブツインのTX500に乗り換えてから、地の利もあって、俺は県内の山はもとより、県境の峠道を走り回った。

群馬には上毛三山と呼ばれる赤城山、榛名山、妙義山があり、それぞれ、山麓から山頂付近にかけていくつかのワインディングが通っている。



右上へ

お天気のいい休日には季節にかかわりなくそれらの山に走りに行った。

が、妙義山の近くでもある碓氷峠は一番頻繁に走った。有名な峠道だったから、車やバイクでコーナーを攻める走り屋が県外からもやって来ていて、脇にスペースのあるコーナーにはギャラリーが数10人もいたり(バイクが大半で、皆走ったり、見物したりしていた)…。その後ローリング族と呼ばれる、一定区間のコーナーを往復するライダーも少なくなかった。

ただ、俺はそれを好まず、横川側=下から全線を一気に駆け上がり、峠を登り切った空き地で一服し、また一気に走り下っていた。

峠走りを主目的にしないで、軽井沢の町やその先の白樺湖方面にツーリングに行き、行き帰りに必然的に碓氷峠でコーナリングを楽しむ、ということのほうが多かった(富岡から軽井沢に至る道はR254などほかにもあるが一番便利で距離も短く、走りやすいコースがR18の碓氷峠だったのだ)。

碓氷バイパスを使うことも何度かあった。

前述のように道幅が広くて舗装も新しく、グルッと回り込んだRの大きなコーナーで構成されているバイパスもハイスピードで気持ちよく走れた。  

だが、やはり面白さで優り無料で走れる旧R18号の碓氷峠を多用した(バイパスもその後無料解放されている)。

上京後、バイクはGS750Ⅱ〜GS750EⅡと変わったが、信州方面にいく時はR18を利用して碓氷峠を走った。

バイト先の10人前後の仲間とツーリングで通ったことも何度もあった。

ここ20年の間にも、バイク仲間とのツーリングや、家族旅行などでも使った。だが、最近は少ない。前回も書いたが、今年のGWのツーリングの帰路、帰省した際に高崎から安中まで短区間R18を利用した。

でも、碓氷峠のR18は、もうずいぶん前に久々に走ったとき、昔と違って交通量は少ないが、その分、整備がなされておらず、路面は荒れ、路肩も汚れていて、安心してコーナリングを楽しめる道ではなくなっていた。

だから、その後は信州方面にいく場合は無料になったバイパスを使うようにしている。

去年の新緑の季節も、息子と宮城光さんと3人で日帰りツーリングし、秩父から群馬に抜け、その後碓氷バイパスを駆け上がった。

軽井沢から北のR18も結構ツーリングで利用している。上田の手前くらいまでとか、長野までとか。新潟の上越市まで走り通したことは、1、2回だと思う。

それにしても、お気に入りだった184カーブの碓氷峠が廃れてしまっているのは寂しいことだ。

めがね橋
道は荒れてしまったが、レンガ造りめがね橋など散策に訪れる人も多い旧道筋。ちなみにバイバスが大渋滞するとJRバスは旧道経由になることがあり、藤原級の卓越したドライビングを堪能できる(たぶん酔いますが)。

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野口眞一
のぐち
バイクに乗って40年、二輪雑誌の仕事をして30年、の55歳。若い頃からツーリングが好きで日本各地を旅してきた。現在の所有車はトライアンフのサンダーバード(1996年型の水冷並列3気筒)で、13年乗り続けている。

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