ムカシから言われていることだが、国会で質問をする威力・効果は非常に大きいことをあらためて我々は知らされる。 hspace=

なんとこの国会でのやり取りがあった日から、わずか6日後! 警察庁が3月4日付けで1通の通達を発出したのだ。

警察庁交通局・交通規制課長と交通指導課課長の連名で、各管区警察局広域調整部長、警視庁交通部長、各道府県警察本部長宛に発信されたその通達のタイトルは「自動二輪車に係る駐車対策等の推進について」。

取締りが強化される直前の2006年3月に発出された警察庁の通達のタイトル「自動二輪車等に係る放置駐車違反の取締り等について」と比べ、明らかに方向が“修正”されていることがわかる。今年3月の通達内容を全掲載する余裕はないが、その一部で警察庁はこう通達している。

「(各警察は)市区町村に対して、自動二輪車等の収容可能な駐車場の附置義務を規定した条例の制定を働きかけること」。 これに加えて二輪車用路上パーキングを各自治体警察でも導入を検討すること。

さらに画期的なのは、必要に応じて自動二輪車等への駐車禁止規制解除、あるいは駐車禁止規制の対象から除外すること、地方団体などの意見要望を十分に踏まえてより合理的な駐車規制の点検・改善を行うこと、駐禁取締りのガイドラインを見直すことという指示を出している。

前出・橋本輝さんによれば従来の施策(2006年)と明らかに変わった点は――
①自治体等に働きかける駐車場の整備について「路外および路上」と明示され、自治体等に対して(各警察は)「必要な協力を行う」とされたこと、
②市区町村に二輪車駐車場の附置義務を条例化するように(各警察は)働きかけること、
③(各警察は)二輪車用の路上パーキングの導入を検討すること、
④二輪車の駐禁取締りを必要に応じて規制解除あるいは取締りを柔軟に緩和すること――を明確に打ち出したことだと指摘している。

ちなみにこれを報じた二輪車新聞の見出しは
『二輪駐車問題が進展 「現実的な取締りの対応」を 警察庁通達』
だった。

そして! 今年3月4日付け警察庁通達を追いかけるように、国土交通省(国交省)は翌月の4月20日に都市・地域整備局街路交通施設課長名で、各都道府県と各政令指定都市担当部局長宛に「自転車駐車場における自動二輪車の受け入れにについて」という通知を出している。

既に自転車法(正確には自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律。やけに長いので以下、自転車法とする)によって地方自治体は自転車と原付一種のための駐輪場整備が進んでいること、また従来は駐車場法から外されていた原付二種以上の二輪車が2006年の改正駐車場法によって自動車駐車場に駐車が可能となったことはご存じだと思う。

加えて国交省は2007年の道路法施行令改正で道路管理者以外の者(地方公共団体、公益法人、公共交通事業者、商店会など)が道路上での自動二輪車の駐車場整備を可能にしている。しかし反面、駐輪場には対象外として原付二種以上の二輪車は受け入れを拒まれている例が多いことも最近指摘されているのは事実。

その中で自治体によっては駐輪場に原付二種以上の二輪車の駐車を整備している場合もある。

しかし一部の自治体でしか実施されていないことなども含め非常に限定的な整備規模(例えば地下にある駐輪場では建築基準法や消防法などの規定に従うことも求められている)であり、とても駐車需要には叶わないというのが課題であった。それを前提に、発せられた国交省の通知文章から要点を抜粋してみる。


①「自動二輪車の駐車対策は未だに不足しており、その充実が求められております」
②「自転車駐車場等における自動二輪車の受け入れについても、積極的に進めていく事が必要と考えられます」
③「自転車法では自動二輪車は対象外とされていますが、各地方公共団体においては、条例等に自動二輪車を位置づける改正等を行うことで受け入れも可能であり、このような事例があることについて充分にご確認いただき(略)自動二輪車の受け入れを積極的に推進していただきたい」
④「(その場合)建築基準法、消防法等の関係法令への対応が必要な場合がありますのでご留意ください」。

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